( 5 )消費税の課税区分を修正するための正しい仕訳

消費税取引で誤った仕訳について修正仕訳をする場合、単純に勘定科目のあるべき数値に合わせるだけでは十分とはいえません。消費税の取引区分の修正も行わないと、消費税申告のための消費税取引と消費税勘定の照合で混乱することになります。

消費税取引の仕訳ミス

一般的な会計ソフトでは、各勘定科目について、その科目に標準的な消費税取引で取引区分が設定されています。 取引区分とは、「課税取引」「非課税取引」「免税取引」「不課税取引」「対象外」などです。 各勘定科目に消費税の取引区分を設定すると、消費税額の自動計上が可能になり、仕訳入力が非常に楽になります。

しかし、消費税取引についての判断は間違えていなくても、仕訳入力でケアレスミスが生じてしまうのが自動仕訳のコワいところです。

たとえば、本来ならば不課税取引として処理すべき取引をうっかり課税取引として処理してしまった場合、その修正仕訳はどうすべきでしょうか。

例として、「お祝い金10,000円」で説明したいと思います。

交際費a⁄c について、標準の消費税の取引区分を「課税」、消費税の入力区分を「内税入力」としている場合、交際費a⁄c に10,000と入力すれば自動で仮払消費税相当額741が分離され、仮払消費税a⁄c に741が自動計上されます。交際費a⁄c の9,259は消費税の取引区分は当然に「課税仕入れ」となります。

(借) 交際費「課税」 9,259 (貸) 現金 10,000
仮払消費税 741

お祝い金の支出は消費税は不課税取引であるため、この処理は誤りとなります。

消費税申告のための消費税取引と消費税勘定の照合チェック

消費税申告にあたっては、会計ソフトで集計している消費税取引区分ごとの金額と消費税勘定の比較を行います。 つまり、個々の仕訳で(自動)入力される消費税の取引区分の「課税仕入れ」の集計額と仮払消費税a⁄c の残高とを比較し、あるいは、「課税売上」の集計額と仮受消費税a⁄c の残高とを比較するのです。

具体的には、集計額に消費税の税率を乗じた額が消費税勘定の残高とほぼ一定しているかチェックするのです。

もし、「課税仕入れ」の集計額と仮払消費税a⁄c の残高とにズレがある場合には、その原因を分析する必要があります。 なぜなら、消費税を自動計算している場合にはズレはほとんど生じないはずなのに、ズレが生じるということは、手入力その他でなんらかのイレギュラーがあったことになります。

ただし、この消費税取引区分と消費税勘定の残高との照合と調整は、考えようによっては数字合わせのようなもので、本来不課税取引であるものを課税取引として処理してしまったといったような場合には、消費税自体は自動処理されている以上、なんらイレギュラーになることはありません。個々の取引については、やはり独自の検証が必要です。

検証の落とし穴

では、上記の誤りの仕訳で検証してみましょう。

(借) 交際費「課税」 9,259 (貸) 現金 10,000
仮払消費税 741

この状態で消費税取引と消費税勘定の検証を行うとどうなるでしょうか

課税仕入れ 9,259
仮払消費税a⁄c 741

「課税仕入れ」の集計金額9,259に8%を乗じると、9,259 × 8% = 741です。仮払消費税a⁄c の残高も741ですから、「課税取引と仮払消費税a⁄c の対応関係は適切である」と判断されてしまうのです。

消費税相当額が自動的に分離されるわけですからある意味当然なのですが、これでは会計ソフトの消費税計算の信頼性をチェックしているだけで、消費税取引についての仕訳が間違っているというチェックは埋没してしまい、消費税取引のあるべきチェックになっていないことになります

修正仕訳とその挫折

まず、正しい修正仕訳を行うためには、「本来あるべき仕訳」を作ることが当然の前提となります。

(借) 交際費「不課税」 10,000 (貸) 現預金 10,000

では、この修正はどのように行えばよいのでしょうか。

直感的に思いつくのが次の仕訳です。

(借) 交際費「不課税」 741 (貸) 仮払消費税 741

という処理が直感的に思いつくかと思います。確かにこの仕訳をすれば、本来のあるべき交際費の額(10,000円)に一致することになります。

しかし、消費税取引と消費税勘定の照合からすれば、この処理は厳密に正しいとはいえません。

なぜなら、例えば上記のような修正仕訳を入れた状態で消費税取引を集計してみると・・・

課税仕入れ 9,259
不課税仕入れ 741
仮払消費税a⁄c 0

ここで、「課税仕入れ」の集計金額9,259に8%を乗じると、9,259 × 8% = 741なのに、仮払消費税a⁄c の残高は0ですから、「課税取引と仮払消費税a⁄c の対応関係は適切でない」と判断してしまいがちです。

もともと正しい処理に変更したというのに、なぜこうなってしまったのでしょうか。 それは、ただ勘定上のあるべき数値に合わせることだけで終わってしまい、消費税取引区分への配慮が欠けていたからです。

おすすめの修正仕訳

では、修正処理はどうすればよいのでしょうか。

(借) 交際費「不課税」 10,000 (貸) 交際費「課税」
9,259
仮払消費税 741

この仕訳を入れれば、消費税取引の状況は次の通りになります。

課税仕入れ 0
不課税仕入れ 10,000
仮払消費税a⁄c 0

このように処理すれば、勘定上の金額のみならず、消費税取引コードについても適切に修正されるのです。

いかがでしょうか。

( つづく )