( 1 )会計ソフトの消費税設定と使い分け

一般的な会計ソフトでは、仕訳において消費税入力を容易にするために、各勘定科目に消費税の設定がなされています。 具体的には、消費税取引の取引区分、入力の際の税額の計算区分、消費税相当額の1円未満の端数処理です。

通常は、仕訳の際に消費税込みの取引金額を入力することにより、消費税相当額が自動計算され、本体価格と消費税相当額が区分される内税入力処理が多いと思われますが、状況によって、外税入力や別記入力も有効です。

消費税取引区分の設定

一般的な会計ソフトでは、各勘定科目について、その科目に標準的な消費税取引で取引区分が設定されています。

取引区分とは、「課税取引」「非課税取引」「免税取引」「不課税取引」「対象外」などです。

たとえば、消耗品を買うときは消費税を支払うことがほとんどなので、消耗品費a⁄c (a⁄c とは「勘定(科目)」を意味します。以下同じです。)の消費税の取引区分は「課税(仕入れ)」となっています。

各勘定科目に消費税の取引区分を設定すると、税抜経理方式を選択した場合には消費税額の自動計上が可能になります。さらに、消費税の確定申告の際に消費税取引をチェックする際の作業が効率的になります。

消費税の計算区分(入力区分)の設定

消費税の経理処理について、税抜経理方式を採用する場合には、本体価格部分と消費税額(相当額)を区分して経理することになります。

この場合、消費税属性が「課税」として設定された勘定科目について、さらに消費税額の計算区分(入力区分)について設定します。

  • 外税入力・・・税抜金額(本体価格)を入力すると会計ソフトが消費税相当額を自動計上します。
  • 内税入力・・・税込金額を入力すると会計ソフトが本体価格相当額と消費税相当額を自動区分します。
  • 別記入力・・・消費税相当額の自動計算はせず、本体価格と消費税額を直接入力します。

外税入力の場合には、消耗品費a⁄c に5,000と入力すれば、自動的に仮払消費税a⁄c に400が計上されます。これらは借方なので、貸方は5,400(税込金額)で貸借がバランスすることになります。

内税入力の場合には、消耗品費a⁄c に5,400と入力すれば、自動的に消耗品費a⁄c に5,000、仮払消費税a⁄c に400と処理されるのです。

外税入力や内税入力の場合には、金額を入力すれば消費税相当額を自動計算され、仮払消費税a⁄c や仮受消費税a⁄c に自動的に入力されます。別記入力の場合にはこれが行われないため、仮払消費税a⁄cや仮受消費税a⁄cに直接入力することになります。

通常は、勘定科目での標準的な消費税入力区分を内税入力にして、税込金額を入力することが多いのではないかと思われます。なぜなら、実際の決済は税込金額で行われるからです。

消費税相当額の端数処理の設定

さらに、会計ソフト上で消費税を自動計算するときに、外税入力や内税入力で自動計算される消費税相当額の1円未満の端数処理について、1円未満の端数処理を「切捨て」「切上げ」「四捨五入」のいずれにするかを設定できます。

もちろん、これらの消費税取引区分や入力区分、端数処理は、あくまで各勘定科目について多く行われる仕訳についての消費税処理の設定で、個々の仕訳ごとにこれと異なる処理を行うことができます。

消費税の入力区分の使い分け(課税仕入れ)

外税入力が便利な場合

外税入力が有効なのは、たとえば、ひとつの請求書の中にいくつもの勘定科目に分けるべき内容があるときです。

請求書には数十行の明細があって、個々の明細から勘定科目を検討すると、ある行が事務用品費a⁄c 、ある行が消耗品費a⁄c 、ある行が固定資産a⁄c 、さらにある行が福利厚生費a⁄c ということがあります。

そして、一般的な請求書の様式は、個々の明細行は本体価格(税抜金額)で記載され、本体価格の合計額(小計)に対して消費税率を乗じた消費税額が記載され、その合計額として請求額(税込金額)が記載されています。

このような場合で、仕訳を作成する段階で、消費税を内税入力で行おうとすると、請求明細は本体価格で記載されているため、入力金額ごとにいちいち消費税率を乗じて入力しなければならないことになります。

そこで、外税入力で行えば、請求明細の金額(本体価格)を入力すれば個々の行で会計ソフト側で消費税(相当額)の自動計算を行うため非常に楽です。

さらに、入力する行が多くなってくると別の問題が生じます。 外税入力の場合、入力する金額は本体価格なので請求内訳の額をそのまま入力すればいいのでラクなのですが、それぞれの入力額で消費税相当額が自動計算されています。 そうしますと、入力した本体価格のそれぞれで消費税相当額が計上されているため入力する項目の数が多いほど、請求合計に消費税率を乗じて消費税額を計算している請求書の金額と一致しない可能性があります。 すると、仕訳上、借方金額(費用科目と仮払消費税)と貸方金額(請求合計額)が一致せず仕訳を計上(登録)できなくなってしまいます。

借方と貸方でアンバランスが生じそうな場合には、先に請求合計額(税込額)から入力します。ここの金額は揺るがない額だからです。つまり、合計金額(実際の支払金額)を固めて、そこから端数を調整すればよいのです。別に借方から金額を入力する必要はないわけです。

そうすると端数が生じてきますが、借方科目のどこかの行で調整することになります。

なお、請求明細が多数の行にわたったりするときは、Excel等で仕訳の基礎資料を別途作っておくとよいでしょう。作業効率的には落ちますが、基礎資料の作成のなかで仕訳入力前にミスなどを把握しやすくなりますし、帳簿の重要な役割が検証可能性だとすると、自身も含めて後日わかりやすくしておくのが大切と考えられます。

別記入力が便利な場合

とくに、税込入力にして、会計ソフト上で税込価格を本体価格相当額と消費税相当額を自動的に計算・分離する場合には、消費税自動計算での端数処理によっては、勘定科目に計上される額がおかしな金額になってしまうことがあります。たとえば、税込金額で入力したところ、総勘定元帳を見ると、請求書等に記載されている本体価格の下3けたは「000」なのに、帳簿の計上額は「999」や「001」になっていたりします。

このような場合には、「別記入力」にするほうが楽です。

たしかに消費税は自動計上されず直接手入力となりますが、請求書をそのまま入力していることになるため、税込額に直したり(税込入力)、最後に貸借を合わせたり(外税入力)するわずらわしさを考えれば、消費税額を直接手入力する別記入力のほうがむしろ効率的といえます。

「課税標準額に対する消費税額の計算の特例」を利用して消費税の申告を行う場合に、税抜経理方式で実際の売上高と実際の仮受消費税の額を経理上も一致させたいときは、別途入力によって仕訳入力するのが効率的です。次回をご覧ください。

( つづく )