( 6 )補助元帳の完成

入出金取引を入力し、いっぽうで、入出金の原因となる情報(売掛金や買掛金・未払金など)の入力を行い、便宜上入力していた仕訳を徐々にブラッシュアップしてきました。

いよいよ、売掛金や買掛金の計上取引と入出金取引の整合性をチェックして、補助元帳を完成します。

そして、資金取引の入力を迅速にするため、相手科目について仮払金や仮受金として処理していたものを正しい科目に修正します。

基本的な着眼点

資金取引の仕訳入力や、売掛金や買掛金の仕訳入力の段階で、どんどん補助科目を設定して入力しています。

あらかた入力した段階で、売掛金や買掛金や未払金などの勘定科目について、補助元帳をチェックします。

残高が大きくプラスの場合

残高が大きくプラスになっている原因としては、次の点が考えられます。

  • 実際に入金(回収)や出金(支払)がない。資金取引は残高を合わせているので、入金や出金のモレはありません。そのうえで残高が残っているということは、純粋に相手方と資金決済がないということです。この点からも、先に資金取引を固めておくことは重要なのです。
  • 仕訳の二重計上がある。この場合にはただちに仕訳を削除します。

残高が大きくマイナスの場合

残高が大きくマイナスになっている原因としては、次の点が考えられます。

  • 実際に過入金(回収)や過出金(支払)がある。資金取引は残高を合わせているので、入金や出金のモレはありません。そのうえで残高がマイナスということは、純粋に相手方と過大な入出金があったということです。この点からも、先に資金取引を固めておくことは重要なのです。
  • 売掛金(買掛金や未払金)の発生取引について入力モレがある。このため、入金(出金)の処理だけが入力されているため残高がマイナスになってしまうのです。
  • 仕訳にミスがあり別の勘定科目や補助科目で入力されている。この場合には、仕訳を直接修正します。

基本的な修正

補助科目の入力ミスとして代表的なのが、補助科目の入力モレと間違えた補助科目を入力してしまうことです。

補助科目の入力モレ

「補助科目の入力モレ」とは、仕訳は計上されているものの、補助科目の入力を失念したために補助元帳には反映されないことです。

補助科目の入力がないだけで、仕訳としては入力されています。

そこで、補助科目の入力を失念してしまった仕訳を修正し、補助科目を追加入力します。

Before

(借) 普通預金 XXX (貸) 売掛金 XXX

After

(借) 普通預金 XXX (貸) 売掛金(B社) XXX

補助科目違い

また、ある得意先との取引なのに、補助科目上は別の得意先との取引として仕訳してしまうことがあります。

Before

(借) 普通預金 XXX (貸) 売掛金(C社) XXX

After

(借) 普通預金 XXX (貸) 売掛金(B社) XXX

補助科目の入力を間違えた場合、たとえば、B社をC社として入力してしまった場合には、どちらかの残高が消し込まれていなかったり、残高がマイナスになっています。ほかにミスがない場合には、双方が同じ額で残高がデコボコになっているので比較的容易にミスが判明します。

振込手数料の調整

補助科目の残高がわずかにプラスだったりマイナスだったりするときは、たいていは振込手数料によるものです。

具体例(1)

B社に請求した額が10,800なのに、B社からの入金は10,260だとします。

(借) 売掛金(B社) 10,800 (貸) 売上 10,000
仮受消費税等 800
(借) 預金 10,260 (貸) 売掛金(B社) 10,260

すると、B社の補助元帳上は残高が540あります。これはB社が振込手数料を負担せずに支払ったことを意味します。

そこで、入金の仕訳を直接修正します。

(借) 普通預金 10,260 (貸) 売掛金(B社) 10,800
支払手数料 500
仮払消費税等 40

なお、振込手数料相当額よりも大きい額が差し引かれている場合には、販売手数料や運賃等が差し引かれて入金していることが考えられます。この場合には、相手先から支払通知書が発行されているため、これをチェックして仕訳を直接修正します。

また、ファクタリングによる割引料相当額が差し引かれていることもあります(後述)。

具体例(2)

C社からの請求額は5,400でしたが、通帳の記帳は5,076と324だったとします。

(借) 仕入 5,000 (貸) 買掛金(C社) 5,400
仮払消費税等 400
(借) 買掛金(C社) 5,076 (貸) 預金 5,076
(借) 仮払金 324 (貸) 預金 324

B社の補助元帳上は残高が324あります。これは、振込手数料を差し引いてC社に振り込んだ、すなわち、振込手数料をC社に負担させたことを意味します。

そこで、通帳どおりに2つの仕訳として入力していた仕訳を1つにまとめ、残り1つの仕訳を削除します。

(借) 買掛金(C社) 5,400 (貸) 預金 5,400

なお、理論的には次の仕訳になります。

(借) 買掛金(C社) 5,076 (貸) 預金 5,076
(借) 支払手数料 300 (貸) 預金 324
仮払消費税等 24
(借) 買掛金 324 (貸) 雑収入 300
仮受消費税等 24

ここの雑収入とは、振込手数料相当額だけ支払いが少なくて済んだことによる収益です。C社による債務免除ではないので消費税上は課税売上取引となります。

最終的に、雑収入と支払手数料を相殺することも考えられます。

まったくかみ合わない場合の着眼点

売掛金や買掛金の発生と消込がまったくかみあわない原因として有力なのや手形取引やファクタリング取引です。

手形取引

手形取引がある場合には、売掛金(買掛金や未払金)と入金(出金)はまったくといっていいほど対応しません。このため、手形取引を追加入力します。

(手形を受け取った場合)

(借) 受取手形 XXX (貸) 売掛金(B社) XXX

(支払手形を切った場合)

(借) 買掛金(C社) XXX (貸) 支払手形 XXX

(手形を裏書した場合)

(借) 買掛金(C社) XXX (貸) 受取手形 XXX

(手形を割り引いた場合)

(借) 預金 XXX (貸) 受取手形 XXXX
手形売却損 X

ファクタリング取引

ファクタリング取引では、売掛債権の譲渡によって請求先と入金先が異なるため、どこまでいっても請求と入金が一致しません。

たとえば、B社に対する売掛債権10,800をC社に債権譲渡し、E社から9,000入金があったとします。

預金取引を単純に入力している段階では、E社からの入金は売掛金の入金または仮受金として処理しているものとします。

(借) 普通預金 9,000 (貸) 売掛金(E社) 9,000

または

(借) 普通預金 9,000 (貸) 仮受金 9,000

いっぽう、得意先B社に対する請求書から仕訳入力すると次のとおりとなります。

(借) 売掛金(B社) 10,800 (貸) 売上高 10,000
仮受消費税等 800

このままでは、B社の売掛金残高は消し込まれず、E社の売掛金残高はひたすら赤残のままです。

そこで、ここからの修正ですが、まずはE社からの入金を勘定科目として未収金 a ⁄ c を使うものとして、E社からの入金仕訳を直接修正します。

(借) 普通預金 9,000 (貸) 未収金(E社) 9,000

つぎに、E社とのファクタリング契約で、どのタイミングでB社に対する売掛債権を譲渡するのかを確認します。そして、B社に請求した売掛債権がE社に全額譲渡される仕訳を追加計上します。

(借) 未収金(E社) 9,000 (貸) 売掛金(B社) 9,000

これにより、B社の売掛債権のE社への債権譲渡によってB社の補助元帳の残高はゼロとなります。

つぎに、ファクタリングによるE社への未収金10,800に対して、入金額は9,000です。これは、債権譲渡損となります。

そこで、E社からの入金仕訳を再び直接修正します。

(借) 預金 9,000 (貸) 未収金(E社) 10,800
債権譲渡損 1,800

これにより、E社の未収金残高は全額消し込まれたことになります。

なお、売掛債権につき振込手数料が差し引かれて入金した場合とは異なり、E社の支払通知書等でファクタリング手数料が明記されていることが一般的です。

補助元帳の完成

振込手数料などの調整を行えば、売掛金a/c や買掛金a/c ・未払金a/c の補助元帳はほぼ完成するはずです。

それでもうまくいかない場合の主な着眼点は次のとおりです。

  • 請求書がないのに入金(出金)している場合には、そもそも売掛債権とは異なる入金や未払債務とは異なる出金であることが考えられます。
  • 前後の月は入金しているのに一部の入金がない場合には、手形を受け取ったり買掛金(売掛金)と相殺したことが考えられます。
  • どうしても消し込めない場合には、古い残高(前期以前に発生)の入金や支払いであることが考えられます。

( つづく )