消費税取引の仕訳入力のポイント
「これは課税ですか?不課税ですか?」ではなく、消費税取引を会計ソフトに入力する場合の問題点や消費税取引のチェック、訂正仕訳についてのヒントなどについてまとめてあります。
( 1 ) 会計ソフトの消費税設定と使い分け
一般的な会計ソフトでは、仕訳において消費税入力を容易にするために、各勘定科目に消費税の設定がなされています。 具体的には、消費税取引の取引区分、入力の際の税額の計算区分、消費税相当額の1円未満の端数処理です。この設定と入力上のポイントはどのようなものでしょうか。
( 2 ) 課税標準額に対する消費税額の計算の特例と帳簿入力
課税標準額に対する消費税額の計算の特例とは、消費税の申告において、課税売上により預かった消費税額を、税込の課税売上高を基礎として算出するのではなく、実際に相手方から預かった消費税額で申告できるものです。 消費税の会計処理について税抜経理方式を採っている場合には、実際の取引額(本体価格としての売上高と消費税の額)を帳簿上の金額が一致させることが望ましいと考えられます。 会計ソフトの消費税設定で消費税を自動計算することなく、一定期間の取引の合計額を直接入力するのが効率的です。
( 3 ) 消費税自動仕訳のミスとその対処方法
一般的な会計ソフトでは、消費税(相当額)の計上を自動化しているため、仕訳入力処理が非常に楽になっています。しかし、この消費税(相当額)の自動計上のために、思わぬ落とし穴もあります。とくに、各勘定科目に標準設定されている消費税取引の区分(課税、不課税など)とは異なる消費税取引があった場合には要注意です。また、振替仕訳でも消費税(相当額)が計上されてしまうことがあります。そして重要なのは、消費税取引の処理である仕訳について間違いが見つかったら「過去の同様の取引も同じミスをしているかもしれない」と過去も調べることが大切です。
( 4 ) 消費税申告のための帳簿チェックの方法
消費税申告とは、つまるところ、仮受消費税から仮払消費税を差し引いた額がプラスなら納税、マイナスなら還付というものです。 とはいえ、ノーチェックで仮払消費税a⁄c と仮受消費税a⁄c の差額をベースに作ってしまうのはあまりにリスキーです。 このため、なんらかのチェックが必要ですが、消費税というのは、ほぼすべての仕訳で考慮されるべきものですので、ただマウスをスクロールしてチェックするというのはあまりにも過酷です。 そこで、消費税申告にあたっては、勘定科目ごとに消費税取引の取引区分(課税、非課税、不課税など)別の取引合計額をシステムから出力して仮受消費税a⁄c の残高や仮払消費税a⁄c の残高と照合するチェック方法があります。
( 5 ) 消費税の課税区分を修正するための正しい仕訳
消費税取引で誤った仕訳について修正仕訳をする場合、単純に勘定科目のあるべき数値に合わせるだけでは十分とはいえません。消費税の取引区分の修正も行わないと、消費税申告のための消費税取引と消費税勘定の検証で混乱することになります。
( 6 ) 勘定科目の振替仕訳における消費税自動計上ミスの事例と対応
勘定科目の振替仕訳においては、仕訳入力の際には各勘定科目の消費税の取引区分を「対象外」(消費税対象外)として処理すべきです。 また、見積り金額の概算計上や仮計上などを行う場合にも、各勘定科目の消費税の取引区分を「対象外」(消費税対象外)として処理すべきです。さらに、そもそもこれらの仕訳を入力するための勘定科目や補助科目を新設しその科目の消費税の設定で取引区分を「対象外」とする方法がベターです。
( 7 ) 消費税申告を意識した固定資産売却の仕訳
固定資産売却の仕訳は簿記検定でもおなじみなものですが、消費税申告を意識した仕訳となるとなかなかうまくいかないものです。 単純に固定資産売却損益を消費税取引として仕訳しても、実際の消費税は損益ではなく売却金額に対するものだからです。すると、消費税の申告にあたり会計システム(ソフト)から消費税取引を集計しようとすると差が生じ、調整が必要になります。 そこで、そのような調整が要らない消費税申告を意識した固定資産売却の仕訳をご紹介します。