仕訳の修正方法(科目、金額、消費税)

私は、基本的には「直接修正主義」、すなわち、修正仕訳を入れるのではなく、オリジナルの仕訳を直接修正することがベターと考える立場です。

まずは本来あるべき仕訳、数字を把握する

修正仕訳を入れなければならない原因は多々ありますが、当初入力した科目にあるにせよ、金額にあるにせよ、本来あるべき(だった)仕訳を作ることが重要です。

ついつい簿記の試験問題の感覚で、「修正仕訳は何か」といってしまいがちですが、試験ではなく実務では、「本来どんな仕訳をしなければならないのか」「いま使用しているソフト(システム)や会計処理方法ではどんな制約があってどう調整しなければならないか」をまずは考えるべきです。

もちろんその前提として、そもそも計上する数字を正しいかどうかが重要です。

差額補充ではなく洗い替えで

修正仕訳は、当初仕訳の金額と(少なくとも仕訳の段階では)正しい金額との差額を計上(差額補充方式)するのではなく、当初の仕訳をそっくりそのまま戻します(洗い替え方式)。

差額補充方式では、本来の数字はいくらが妥当なのかが帳簿上だけでは明確にならないばかりか、修正した金額そのものにさらに修正が入るような場合には、収拾つかなくなるおそれがあります。

簿記の試験では差額補充法的な解答を求められますが、実務では後日の検証を容易にすることを優先すべきです。

修正仕訳と正しい仕訳はセットでひとつの伝票で

さて、洗い替え方式による修正処理は、「オリジナル仕訳の取消仕訳」と「あるべき仕訳」の入力となりますが、これは、ひとつの伝票で入力するのが理想です。

そして、摘要欄には必ず「オリジナル仕訳の計上日付や仕訳(伝票)番号」を必ず入力しましょう。これを失念すると検証にムダな時間を費やしてしまいかねません。

「オリジナルの取消仕訳」は、借方科目と貸方科目を逆にして計上する「反対仕訳」でもいいのですが、もし可能であれば、借方科目と貸方科目はそのままに、金額をマイナスにして計上するほうがベターです。

仕訳例

(オリジナルの仕訳)

(借) 減価償却費(建物) 150 (貸) 減価償却累計額 150

(あるべき仕訳)

(借) 減価償却費(機械) 180 (貸) 減価償却累計額 180

(修正仕訳)

(借) 減価償却費 (建物) -150 (貸) 減価償却累計額 -150
減価償却費 (機械) 180 減価償却累計額 180

消費税取引の仕訳ミスに対する修正仕訳

一般的な会計ソフトでは、各勘定科目について、その科目に標準的な消費税取引で取引区分が設定されています。 取引区分とは、「課税取引」「非課税取引」「免税取引」「不課税取引」「対象外」などです。 各勘定科目に消費税の取引区分を設定すると、消費税額の自動計上が可能になり、仕訳入力が非常に楽になります。

しかし、消費税取引についての判断は間違えていなくても、仕訳入力でケアレスミスが生じてしまうのが自動仕訳のコワいところです。

たとえば、本来ならば不課税取引として処理すべき取引をうっかり課税取引として処理してしまった場合、その修正仕訳はどうすべきでしょうか。

例として、「お祝い金10,000円」で説明したいと思います。

交際費a/c について、標準の消費税の取引区分を「課税」、消費税の入力区分を「内税入力」としている場合、交際費a/c に10,000と入力すれば自動で仮払消費税相当額741が分離され、仮払消費税a/c に741が自動計上されます。交際費a/c の9,259は消費税の取引区分は当然に「課税仕入れ」となります。

(借) 交際費「課税」 9,259 (貸) 現金 10,000
仮払消費税 741

お祝い金は消費税の不課税取引であるため、この処理は誤りとなります。

本来あるべき仕訳は次のとおりです。

(借) 交際費「不課税」 10,000 (貸) 現預金 10,000

では、この修正はどのように行えばよいのでしょうか。

直感的に思いつくのが次の仕訳です。

(借) 交際費「不課税」 741 (貸) 仮払消費税 741

確かにこの修正仕訳を入れれば、本来のあるべき交際費の額(10,000円)に一致することになります。

しかし、税抜経理方式を採用している場合、消費税の申告に際しては、会計ソフトで集計された消費税取引(課税取引)の合計額と消費税勘定(仮払消費税a⁄c と仮受消費税a⁄c )の残高との照合を行いますが、上記の修正仕訳を行うと、この照合がうまくいきません。

上記の修正仕訳を入れた状態で消費税取引を集計してみましょう。

課税取引金額 9,259
不課税取引金額 741
仮払消費税a⁄c  0

ここで、「課税取引」の金額9,259に8%を乗じると、9,259 × 8% = 741なのに、仮払消費税a⁄c の残高は0ですから、「課税取引と仮払消費税a⁄c の対応関係は適切でない」と判断してしまいます。

このままで消費税の申告をすることはリスクがあるため、しゃかりきにその原因を調べざるをえません。このような修正仕訳がたくさん入力されていると、焦りはより深刻なものとなります。

この原因は、ただ勘定上のあるべき数値に合わせることだけで終わってしまい、消費税取引区分への配慮が欠けていたからです。

では、あるべき修正処理はどうすればよいのでしょうか。

(借) 交際費「不課税」 10,000 (貸) 交際費「課税」 9,259
仮払消費税 741

この修正仕訳を入れれば、消費税取引の状況は次の通りになります。

課税取引金額 0
不課税取引金額 10,000
仮払消費税a⁄c  0

このように処理すれば、勘定上の金額のみならず、消費税取引の取引区分についても適切に修正されるのです。

詳しい内容につきましては「消費税取引の仕訳入力のポイント 」をご覧いただければと思います。

(おわり)