売掛金勘定や買掛金勘定の効率的な消し込み法
債権債務の管理はあらゆる事業体にとって必須ですが、これは会計帳簿にも的確に反映されていなければなりません。
ところが、売掛金a⁄c や買掛金a⁄c など、債権債務勘定の消し込み(債権債務と入出金を紐付けること)のときに、仕訳のダブりや仕訳の不足その他の原因で、わけがわからなくなることがあります。
私の場合、「直近の取引から過去へ過去へとチェックする」「入金(出金)⇒ 債権(債務)でチェックする」方法で対応しています。
この方法は、仮払金や立替金の精算、巧妙に計上された不正な収益や費用の有無を調査・特定するための作業にも応用できます。
なお、債権債務の弁済と振込手数料についての仕訳についても一定の提案をさせていただいています。
目次
問題提起
売掛金a⁄c や買掛金a⁄c など、債権債務勘定の消し込み(債権債務と入出金を紐付けること)のときに、仕訳のダブりや仕訳の不足その他の原因で、わけがわからなくなることがあります。
とくに、定額請求や一定数量だけのオーダーなどで計上金額が同じ場合はさらにわからなくなります。
さらに、見積りで計上したりしなかったりや、売掛金で計上したものと現金主義で計上してしまったりとか、仕訳が酔っぱらっていることも少なくありません。
このような混乱は、人名勘定すなわち個々の取引先としての補助科目ではなく、「その他」などとしてコントロールしている場合に特に起こります。
では、余計な仕訳を取消し、不足している仕訳を入れ、どう消し込んでいけばよいのでしょうか。
資金勘定を合わせる
まず何より大事なのは、資金勘定(現預金a⁄c )がビタッと合っていることです。
何かを検証するためには、よりどころとなる「軸」が必要です もっとも客観的でブレない軸が資金(預金)取引です。 軸が固まっているから、債権債務のチェックに安心して取り組めるのです。
具体的には、通帳どおりの数字で仕訳されているかどうかが重要です。
相手勘定はともかく(ここをチェックすることにもなります。後述)、とにかく現預金⁄c がしっかりしていないと何も始まらないのです。
売掛金a⁄c や未収金a⁄c といった債権勘定から見ると入金は貸方サイド、買掛金a⁄c や未払金a⁄c といった債務勘定では出金は借方サイドに出ます。
具体的な方法論
私の場合、正統的な方法とはおよそ真逆の方法でチェックします。
- 直近の取引から過去へ過去へとチェックする
- 「入金(出金)⇒ 債権(債務)」でチェックする
直近の取引から過去へ過去へとチェックする
直近の取引からどんどん過去にさかのぼってチェックしましょう。直近からチェックすれば、キチンと合った段階でとりあえず作業が終了するからです。
もちろん、期中はメチャクチャかもしれません。しかし、時間に余裕がない場合は、期首と期末の貸借対照表の残高がキチンと固まれば、間接的とはいえ損益もそれなりに合っている(表示区分などは別にして)ことになるからです。
「入金(出金)⇒ 債権(債務)」でチェックする
オーソドックスな「消し込み」というと、まずは債権債務の発生があり、「この売掛金等(買掛金・未払金等)の計上に対する入金(出金)の計上はどれか」とチェックします。すなわち「債権(債務)⇒入金(出金)」というアプローチです。
私の場合は、逆に、「この入金(出金)の計上に対する売掛金等(買掛金・未払金等)の計上はどれか」すなわち「入金(出金)⇒ 債権(債務)」アプローチを採ります。なぜなら、入出金取引のほうが客観的で信頼できるからです。
某自動車会社のカンバン方式に着想を得ています。
これを可能にするためには、その前提として資金勘定が(相手科目はともかく)キチンと計上されていることが重要なのです。
実際のチェック
消し込み作業は、売掛金a⁄c や買掛金a⁄c の総勘定元帳または補助元帳をプリントアウトして行うか、テキストファイルやCSVに出力して、これをExcelに落として行うのが一般的です。
売掛金a⁄c などの債権勘定の場合には貸方(入金)を見て、それに対応する債権が計上されているかをチェックし、買掛金a⁄c などの債務勘定の場合には借方(出金)を見て、それに対応する債務が計上されているかをチェックします。
プリントアウトしているときは絶対にチェックマークを入れましょう。Excelで行う場合は、セルに色を塗りましょう。「消し込み」をやっているのですから当たり前なのですが、チェック済みを明確にしておかないと毎月一定の金額が続くとだんだんアヤしくなります。
仕訳を追加する前に検討すること
消し込み作業をしていると、元帳上で入金(出金)に対する債権(債務)がないことがあります。
このときに重要なのは、すぐに仕訳モレと判断して仕訳を追加入力するのではなく、「仕訳は実は既に入力されていて、ただ補助科目なしで計上していたり、別の補助科目として計上されているために、この(補助)元帳には出てきていないだけかもしれない」と考えることです。
そうしないと、たしかに仕訳を追加入力すればチェックしている補助科目では調整ができますが、勘定科目全体でみると二重に債権・債務が計上されてしまうことになります。
あるいは、売掛金a⁄c と未収金a⁄c のどちらにも「A社」という補助科目があって、月によってそれぞれに取引が入力されていてどちらも合っていないということもあります。
「現金主義仕訳」の修正
それでも、元帳上で入金(出金)に対する債権(債務)が見つからないことがあります。
その場合にも、仕訳を追加入力する前にもう一つ検討したいことがあります。
「入金(出金)のときに売掛金(買掛金・未払金)を使っていない、つまり、現金主義的に収益や費用を計上していないか」検討しましょう。
この場合には、今度は預金勘定の元帳をチェックしてみなければなりません。
預金勘定の仕訳の修正
そうしますと、案の定、借方(入金)の相手勘定が売上高a⁄c だったり、貸方(出金)の相手勘定が費用a⁄c だったりします。または、仮受金a⁄c や仮払金a⁄c として処理されていたりします。
それを直していきます。
まず、債権の場合には次のようになります。
(Before)
(借) | 現預金 | XXX | (貸) | 売上etc | XXX |
(After)
(借) | 現預金 | XXX | (貸) | 売掛金etc | XXX |
次に、債務の場合には次のようになります。
(Before)
(借) | ○○費 | XXX | (貸) | 現預金 | XXX |
(After)
(借) | 買掛金etc | XXX | (貸) | 現預金 | XXX |
仕訳の修正にあたっては、相手科目である債権債務の勘定科目には適切な補助科目を入力しましょう。ここでアタマの片隅に置きたいのは、「この段階で補助科目の入力ミスをしてしまうこともある」ことです。ミスを修正しているときにミスをしてしまう、別段不思議なことではありません。
なお、スルドい方はすでにこの段階で「入金といっても振込手数料が差し引かれている場合があるからこれを織り込んで修正する必要があるんじゃないか?」「出金といっても振込手数料と合計で請求金額となるようにしているからこれを織り込んで修正する必要があるんじゃないか?」とお考えのはずです。
対応する債権や債務がすでに入力されて元帳上で確認できるのであれば、その差額が明らかに振込手数料相当額(216円、324円、432円、540円、648円、756円、864円)の場合には、この段階でこれを織り込んだ修正仕訳にしてもよいと思います。
しかし、対応する債権や債務が入力されていない場合には、債権や債務のエビデンス(請求書等)とのチェックが必要になるため、この段階ではとりあえず振込手数料相当額を織り込んだ修正仕訳は保留したほうがよいと思われます。 得意先から振込手数料相当額の入金があったとしても、振込手数料を差し引かずに請求金額が全額入金していることもありますし、また、得意先が利用した金融機関によっては月ごとに振込手数料が異なることがあるからです。いずれにしましても、具体的な処理については後ほどコメントいたします。
いずれにしましても、具体的な処理については後ほどコメントいたします。
預金勘定の仕訳の修正
このような修正箇所がほんの一部だけであれば、それらの仕訳を修正すればそれで作業終了となります。
しかし、「発生主義仕訳」と「現金主義仕訳」がほどよい(?)酔っ払い加減のため、一部の仕訳を修正するだけではもはや対応できない場合には、一つの判断が必要になります。
つまり、期首からの預金取引すべてについて「現金主義仕訳」をすべて修正し、預金取引の相手科目をすべて債権債務勘定にして、預金取引から収益費用が発生しないようにするのです。
根本的な解決が期待できますが、時間との戦いになります。仕訳量なども踏まえながらフレキシブルに判断しましょう。
「発生主義仕訳」の追加計上
上記のような「現金主義仕訳」の修正によって、収益として処理されていた仕訳は債権のマイナスに修正され、費用として処理されていた仕訳は債務のマイナスに修正されました。
そこで、今度は債権や債務について、「発生主義仕訳」を追加計上します。
ここで、ふたつのアプローチがあります。
- エビデンス(売上ならば請求書控や領収証控、費用ならば先方の請求書や支払通知)をチェックしつつ債権債務の仕訳を計上し、本来の目的である仕訳のダブりや不足の問題を解決していくアプローチ
- 実際の入金額(貸方)と同じ金額の債権(収益)を、また、実際の出金額(借方)と同じ金額の債務(費用)をとりあえず暫定的に計上し、いったん本来の目的である仕訳のダブりや不足の問題を解決した後で、暫定的に計上した債権債務についてエビデンスを確認しながら微調整を行うアプローチ
1.の方法は、極めて当たり前で教科書的なオーソドックスなアプローチです。しかし、時間的な余裕がないことも少なくありません。
そもそも一連の作業の目的は、債権債務の勘定の消し込みがうまくいかない状況で、その原因を突き止め、仕訳のダブりや仕訳の不足を解消していくことにあります。
先に、仕訳のダブりや不足を解消し消込みをキチンとしたほうがいいのか、個々の取引を完璧にすることを優先したほうがいいのかは悩ましい判断となります。
仕訳の量、残された時間、作業中に起こり得る想定外事項などを踏まえて、「時間切れになったときでもそこそこの精度が確保されている」ように作業をすることになります。「結果は完璧になる(かもしれない)が、時間切れのときは作業途中でぜんぜん精度も何もあったものではない」というのは避けなければなりません。あらゆるお仕事にも通じることではございますが・・・
なお、なぜエビデンスのチェックが必要なのかは、それは伝票作成や仕訳入力の教科書的なお作法だからではありません。とくに売掛金の入金の場合、振込手数料が差し引かれていたり、買掛金との相殺があるからです。
2.の方法で行うと、単純に入金や出金に対応する債権や債務を計上しているだけのため、エビデンスとの照合を行わないと、これらの問題がまったく埋没してしまいます。
なにより、単純に入金や出金に対応する債権や債務だけの計上ということは、入金や出金をしていない債権や債務が計上されていないという深刻な問題が生じているのです。
いずれの手順で行くかは個々の状況によって異なりますが(作業中に方針を変更することも多々あります)、債権債務の計上にあたっては、最終的には計上の基礎となるエビデンスとの照合を必ず行うことになります。
最終的な消込みチェック・・・振込手数料の調整(売掛金等の場合)
債権債務を入れると、今度はそれに対する入金や出金がないことがわかります。 あるいは、債権債務に対応するであろうはずの入出金と一致しないことがわかります。
もちろん、単純に未入金や未払いということもありますが、少額の場合には(振込)手数料、少額でない場合には相殺がある、または、手形があるかもしれないと思いましょう。
ほぼすぐにわかることが、得意先からの入金が振込手数料を差し引かれている場合です。
振込手数料相当額の修正
まず前提として、以下の債権(と収益)の仕訳が計上されていたとします。
(借) | 売掛金 | XXXX | (貸) | 売上 | XXXX |
これに対応する入金の仕訳が次のとおりだとします。
(借) | 現預金 | XXX | (貸) | 売掛金etc | XXX |
あるべき仕訳は次のようになります。
(借) | 現預金 | XXX | (貸) | 売掛金etc | XXXX |
支払手数料 | X |
修正仕訳の工夫
ところで、この処理は、結局は次の仕訳を追加するに等しいものです。
(借) | 支払手数料 | X | (貸) | 売掛金 | X |
しかし、このような「差額補充方式」の仕訳を追加すると、基本となるオリジナルの「(借方)預金(貸方)売掛金」と元帳上連続する保証はありません。そうしますと後日元帳だけ見ると(少なくとも第三者は)なんだかわからないです。摘要欄にオリジナル仕訳の計上日や伝票番号を入力するのは基本ですが、次のような仕訳がオススメです。
(借) | 売掛金 | XXX | (貸) | 売掛金 | XXXX |
支払手数料 | X |
これならば、オリジナルの「(借方)預金XXX(貸方)売掛金XXX」の仕訳と元帳上で離れた位置にあっても、後日わかりやすいはずです。
最終的な消込みチェック・・・振込手数料の調整(買掛金等の場合)
次に、買掛金等の支払の場合、すなわち、振込手数料を差し引いて仕入先等に支払いをした(振込手数料との合計額が仕入先等からの請求金額)場合もこれを調整します。
振込手数料相当額の修正
まず前提として、以下の債務(と費用)の仕訳が計上されていたとします。
(借) | ○○費 | XXXX | (貸) | 買掛金etc | XXXX |
これに対応する出金の仕訳が次のとおりだとします。
(借) | 買掛金etc | XXX | (貸) | 預金 | XXX |
(借) | 支払手数料 | X | (貸) | 預金 | X |
仕訳上は債務の弁済と振込手数料は別々に仕訳されていることが少なくありません。通帳通りに仕訳すればある意味当然です。
債務の弁済、すなわち、出金(振込み)について、仕入先等からの請求金額に対して、「振込手数料との合計金額が請求金額になる、すなわち、振込手数料相当額を差し引いた額が先方に着金するという方法があります。
この場合には、通帳や取引記録の記録では、「振込金額」の行の直後に「振込手数料」が記帳されていてこの合計額が相手からの請求金額に一致していることになります。しかし、ネットバンキング等で、振込手数料は後でまとめて銀行から請求される場合には、振込みの時点では振込手数料相当額を差し引いた金額のみ出金していることになります。この場合には、先方からの請求書等のほかに、ネットバンキングの振込指示の際のデータとも比較することになります。
では、あるべき仕訳を検討しましょう。2つの方法が考えられます。
(第1法)
(借) | 買掛金etc | XXXX | (貸) | 預金 | XXX |
預金 | X |
(第2法)
(借) | 買掛金etc | XXX | (貸) | 預金 | XXX |
支払手数料 | X | 預金 | X | ||
買掛金etc | X | 雑収入 | X | ||
雑収入 | X | 支払手数料 | X |
第1法は、振込手数料相当額を差し引いて振り込んだ、すなわち、振込手数料との合計額をもって請求額を支払ったという当事者の意思を重視し、オリジナルの「(借方)支払手数料X(貸方)預金X」の支払手数料を買掛金の借方としたものです。
第2法は、実際に通帳上の記帳という客観的な部分を重視し、振込手数料を差し引いて振り込んだが振込手数料相当額は追加的に先方に支払わなくてよい、すなわち振込手数料相当額は(債務免除ではなく)値引きを受けたと解して雑収入とし、それから支払手数料と雑収入を相殺するというものです。
修正仕訳の工夫
ところで、この処理は、結局は次の仕訳を追加するに等しいものです。
(第1法)
(借) | 買掛金etc | X | (貸) | 支払手数料 | X |
(第2法)
(借) | 買掛金 | X | (貸) | 雑収入 | X |
雑収入 | X | 支払手数料 | X |
しかし、このような「差額補充方式」の仕訳を追加すると、基本となるオリジナルの「(借方)買掛金etc(貸方)預金」と元帳上連続する保証はありません。そうしますと後日元帳を見ると(少なくとも第三者は)なんだかわからないです。摘要欄にオリジナル仕訳の計上日や伝票番号を入力するのは基本ですが、次のような仕訳がオススメです。
(第1法)
(借) | 買掛金 | XXXX | (貸) | 買掛金 | XXX |
支払手数料 | X |
(第2法)
(借) | 買掛金 | XXXX | (貸) | 買掛金 | XXX |
雑収入 | X | ||||
雑収入 | X | 支払手数料 | X |
これならば、オリジナルの「(借方)買掛金XXX(貸方)預金XXX」の仕訳と元帳上で離れた位置にあっても、後日わかりやすいはずです。
なお、振込手数料には消費税等の額が含まれています。第2法の場合、会計上の処理として勘定科目に支払手数料a⁄c と雑収入a⁄c としましたが、消費税法上は当方の仕入値引き(先方は売上値引き)として、「(課税)仕入れに係る対価の返還等」となります。
最終的な消込みチェック・・・相殺や手形の調整
振込手数料の調整をしてもうまくいかない。この場合は、ファクタリング取引や手形取引があったり、債権債務の相殺が行われていないかを確かめましょう。
なお、資金化したとき(ファクタリング会社からの入金や手形期日による入金や出金、割引等)の仕訳との整合性(勘定科目や補助科目など)をチェックしながら仕訳を追加入力する必要があります。
ファクタリングの場合
(借) | 未収金etc | XXXX | (貸) | 売掛金etc | XXXX |
受取手形の場合
(借) | 受取手形 | XXXX | (貸) | 売掛金etc | XXXX |
支払手形の場合
(借) | 買掛金etc | XXXX | (貸) | 支払手形 | XXXX |
裏書手形の場合
(借) | 買掛金etc | XXXX | (貸) | 受取手形 | XXXX |
相殺の場合
(借) | 買掛金etc | XXXX | (貸) | 売掛金etc | XXXX |
仕訳の整理と残高修正
すでに、この段階で、ダブりで計上されていた仕訳や不足していた仕訳の問題が解消されています(されているはずです)。
ところで、冒頭申し上げましたとおり、消込みチェックは直近の取引から過去へ過去へと行います。
異常なポイントに到達してこれを修正した段階で作業は終了しますが、結果的に期首まで遡ってもわからなかったとします。となりますと、この場合は、期首すなわち前期末の残高にその問題があったという結論になります。
そこで、このまま前期までさらにさかのぼって徹底的にチェックすべきか、ズバッと残高を調整するかを決断することになりますが、その前に、この差額の原因について分析します。
まず、この原因が「未回収や未払い」にあるのなら、特段の処理は要りません。ただ、債権の場合には、法人税法上の「形式的貸倒れ」に該当するのであれば、備忘記録を残して処理することになります。
もっとも、「形式的貸倒れ」ではなく、単純にムダな仕訳が入っていたという場合には、貸倒れではなく単純な誤計上ということになり仕訳の取り消しということになります。
このとき、科目をどうするか、雑損失や雑収入か、前期損益修正とするか、あるいは諸般の事由により売上のマイナスや費用のマイナスとするか、さらには、この処理の際の仮払消費税と仮受消費税についてどうするのかについては慎重に判断すべきだと思われます。
逆に、「過入金や過払い」にあるのなら、相応の仕訳を追加することになります。
なお、形式的貸倒れとは、法人税基本通達9-6-3(一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ)に該当する貸倒れです。
具体的には、得意先との取引を停止した時(最後の弁済期または最後の弁済の時が当該停止をした時以後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上経過した場合には、当該売掛債権の額から備忘価額(1円)を控除した残額を貸倒れとして損金経理をしたときは、貸倒損失として認められるというものです。
なお、当該売掛債権について担保物のある場合は適用されません。また、取引を停止したとは、継続的な取引を行っていた債務者(得意先)につきその資産状況、支払能力等が悪化したためその後の取引を停止するに至った場合であり、例えば不動産取引のようにたまたま取引を行った得意先に対する売掛債権については、この取扱いの適用されません。
(おわり)