固定資産税の月次計上(概算額計上と損金算入時期も踏まえて)

固定資産税の会計処理というと、仕訳の説明や法人税法上の損金算入時期の説明で終了というのが圧倒的多数と思われます。

月次決算の平準化という意味もあり、費用を月割計上することはよくあります。

「そもそも月割計上する費用なのか」「月割するとしてその期間はいつからいつか」「概算分と確定分の区分はどうするか」という点で、固定資産税(と都市計画税と償却資産税。以下「固定資産税等」といいます。)の会計処理は、法人税法上の損金算入時期とあいまってうってつけの素材となります。

固定資産税等の概要

固定資産に課される税金として固定資産税(より正確には、固定資産税、都市計画税および償却資産税)があります。固定資産の保有に課されるコストのイメージがありますが、課税的には、期間に対して課税されるのではなく、1月1日現在の所有者に課税されます。

土地と家屋については、何もしなくても6月になると納税通知が送付されてきますが、構築物や器具や備品については、事業者が1月1日現在の状況を申告し(償却資産の申告)、納税通知が送付されます。

固定資産税等の納期と納期限は次のとおりです。

  • 賦課決定日・・・6月1日
  • 第1期・・・納期は6月1日から6月30日(納期限)
  • 第2期・・・納期は9月1日から9月30日(納期限)
  • 第3期・・・納期は12月1日から1月4日(納期限)
  • 第4期・・・納期は2月1日から2月末日(納期限)

第3期については、納期限は12月31日ではなく正月明けとなります。

固定資産税等の法人税法上の損金算入時期

法人税法上、固定資産税等は賦課課税方式による租税に該当するため、賦課決定のあった事業年度の損金となるのが原則です

固定資産税等の賦課決定は6月初旬なので、その全額が6月を含む事業年度の損金となります。

いわゆる損金経理要件(下記参照)がないので、たとえば、固定資産税等の額を月々に費用配分しているため年税額の一部が費用処理されていない場合、費用処理していない額を法人税の申告で当期純利益から減算できます。

この場合では法人税の申告上では先に費用(損金)としているため、翌期に会計上費用処理したときには、逆に法人税の申告上では当期純利益に加算しなければなりません。

このような会計(費用)と法人税法(損金)のタイミングによるズレを一時差異といい、会計上は税効果会計の対象となります。

ただし、納期の開始日の事業年度または実際に納付した事業年度において損金経理をした場合には、その損金経理をした事業年度となります

損金経理とは、法人がその確定した決算において費用または損失として経理することをいいます。実際に納付するかどうかは関係ありません。

会計処理目次

( 1 )現金主義 & 全期分一括納付の場合

「月次費用配分などまったく関係なし」のガチンコ現金主義経理です。

数値については、以下のとおりとし、その後の会計処理例もこれと同じとします。

  • 当年分の固定資産税等の賦課決定額は120とします。
  • 分割納付の場合は1期あたりの納付額は30となります。
  • 第3期の納付は12月末日とします。

6月末

(借) 租税公課 120 (貸) 預金等 120

決算月別の損金算入時期

法人の決算月にかかわらず、法人税の申告では、6月を含む事業年度で120を全額損金算入できます。

( 2 )現金主義 & 分割納付の場合

6月末(第1期分納付)

(借) 租税公課 30 (貸) 預金等 30

9月末(第2期分納付)

(借) 租税公課 30 (貸) 預金等 30

12月末(第3期分納付)

(借) 租税公課 30 (貸) 預金等 30

ちなみに、実際の第3期分の納期限は1月最初の平日です。

2月末(第4期分納付)

(借) 租税公課 30 (貸) 預金等 30

決算月別の損金算入時期

決算月にかかわらず、賦課決定のあった6月の属する事業年度に損金算入できるのが原則です。つまり、会計上費用処理していない額を法人税の申告で当期純利益から減算できます。ただし、この処理を行わない場合は次のとおりとなります。

6月決算の場合には、損金経理したのは第1期分の30だけなので、30のみを損金に算入できます。第2期分以降については、納期の開始日でもなく納付もしていないので、90は翌期の損金となります。同様に、7月決算の場合、8月決算の場合も30を損金に算入できます。

9月決算の場合には、損金経理したのは第1期分と第2期分の合計60なので、60を損金に算入できます。第3期分以降については、納期の開始日でもなく納付もしていないので、60は翌期の損金となります。同様に、10月決算の場合、11月決算の場合も60を損金に算入できます。

12月決算の場合には、損金経理したのは第1期分と第2期分と第3期分の合計90なので、90を損金に算入できます。第4期分については、納期の開始日でもなく納付もしていないので、30は翌期の損金となります。同様に、1月決算の場合、2月決算の場合も90を損金に算入できます。

2月決算の場合には、損金経理し全額納付しているため、120全額を損金に算入できます。3月決算以降も同様です。

( 3 )未払金計上 & 分割納付の場合

賦課決定のあった6月に全額を未払金計上して分納する場合です。

6月

(借) 租税公課 120 (貸) 未払金 120

6月末(第1期分納付)

(借) 未払金 30 (貸) 預金等 30

未払金a⁄c の残高・・・90

9月末(第2期分納付)

(借) 未払金 30 (貸) 預金等 30

未払金a⁄c の残高・・・60

12月末(第3期分納付)

(借) 未払金 30 (貸) 預金等 30

未払金a⁄c の残高・・・30

2月末(第4期分納付)

(借) 未払金 30 (貸) 預金等 30

未払金a⁄c の残高・・・0

決算月別の損金算入時期

決算月にかかわらず、賦課決定のあった6月に全額を損金経理して会計上の当期純利益がマイナスになっているため、法人税の申告書で何の調整を要することなく6月を含む事業年度の損金となります。

( 4 )6月から1年間にわたって月割計上 & 全期分一括納付

固定資産税等の納税通知書が送付されて税額がはっきりわかるのが6月上旬なので、この月から1年にわたって費用配分します。

この会計処理の問題点については後述します。

6月末(全期分一括納付)

(借) 租税公課 10 (貸) 預金等 120
前払金 110

前払金a⁄c の残高・・・110

7月から翌年5月まで(11ヶ月)

(借) 租税公課 10 (貸) 前払金 10

当該期間(11ヶ月)の租税公課の額・・・110

当該期間(11ヶ月)の前払金の減少額・・・110

前払金a⁄c の残高・・・0

決算月別の損金算入時期

決算月にかかわらず、賦課決定のあった事業年度に損金算入できるのが原則です。つまり、会計上費用処理していない額を法人税の申告で当期純利益から減算できます。ただし、この処理を行わない場合は次のとおりとなります。

6月決算の場合には、6月末に全額納付していますが損金経理したのは6月分の10だけなので、10を損金に算入できます。

7月決算の場合には、損金経理したのは6月分と7月分の20なので、20を損金に算入できます。

8月決算の場合には、損金経理したのは6月分から8月分の30なので、30を損金に算入できます。

以下、9月決算の場合の損金算入額は40、10月決算の場合の損金算入額は50、11月決算の場合の損金算入額は60、12月決算の場合の損金算入額は70、1月決算の場合の損金算入額は80、2月決算の場合の損金算入額は90、3月決算の場合の損金算入額は100、4月決算の場合の損金算入額は110、5月決算の場合の損金算入額は120となります。

( 5 )「6月から1年間にわたって月割計上」の問題点

そもそも月割にする費用なのか

まず、固定資産税等は期間に対して課税される税金ではなく、1月1日の所有者に対して(事後的に)課される税金のため、「月次決算の平準化」の目的ならばともかく、そもそも月割で配分すべき性質の費用なのかという問題があります。

もっとも、実務上、土地や家屋や償却資産の譲渡にあたり、固定資産税等の精算は1月1日から12月31日までの日割りで行っていることからすると、期間配分もただちに不合理とはいえないことになります。

月割りにしたとして前払となる分の勘定科目は何が適切か

さて、月割配分する場合、発生よりも納付のタイミングが先行すると、前払部分が生じます。この場合の勘定科目は何が適切なのかという問題があります。

一定の契約に従い継続して役務の提供を受ける対価のうちの未経過期間分としての前払費用a⁄c はなじまないため、前払金a⁄c を使っています。

月割の期間はいつからいつまでか

ところで、賦課決定が6月初旬であるため、6月から1年間にわたって費用配分しています。しかし、先ほど申し上げたとおり、実務上、土地等の譲渡での固定資産税等の精算は1月1日から12月31日までの日割りで行っていることからすれば、「費用の効果」を観念するとしても12月末までということになります。

よって、6月から1年間にわたって費用配分することは理論的には妥当でありませんし、だとすると、前払金a⁄c の残高の持つ意味もよくわからないものとなります。

( 6 )6月から12月にわたって月割計上 & 分割納付

固定資産税等の性質を「固定資産の保有コスト」という側面からとらえると、その期間は1月1日(課税時期)から12月31日までということになります。

いっぽう、固定資産税等の納税通知書が送付されて税額が判明するのが6月初旬ということから、6月から12月までの7ヶ月に月割計上します。

6月

(借) 租税公課 18 (貸) 未払金 18

未払金a⁄c の残高・・・18

6月末(第1期分納付)

(借) 未払金 18 (貸) 預金等 30
前払金 12

未払金a⁄c の残高・・・0

前払金a⁄c の残高・・・12

7月

(借) 租税公課 17 (貸) 前払金 12
(貸) 未払金 5

前払金a⁄c の残高・・・0

未払金a⁄c の残高・・・5

8月

(借) 租税公課 17 (貸) 未払金 17

未払金a⁄c の残高・・・22

9月

(借) 租税公課 17 (貸) 未払金 17

未払金a⁄c の残高・・・39

9月末(第2期分納付)

(借) 未払金 30 (貸) 預金等 30

未払金a⁄c の残高・・・9

10月

(借) 租税公課 17 (貸) 未払金 17

未払金a⁄c の残高・・・26

11月

(借) 租税公課 17 (貸) 未払金 17

未払金a⁄c の残高・・・43

12月

(借) 租税公課 17 (貸) 未払金 17

未払金a⁄c の残高・・・60

12月末(第3期分納付)

(借) 未払金 30 (貸) 預金等 30

未払金a⁄c の残高・・・30

2月末(第4期分納付)

(借) 未払金 30 (貸) 預金等 30

未払金a⁄c の残高・・・0

決算月別の損金算入時期

決算月にかかわらず、賦課決定のあった事業年度に損金算入できるのが原則です。つまり、会計上費用処理していない額を法人税の申告で当期純利益から減算できます。ただし、この処理を行わない場合は次のとおりとなります。

6月決算の場合には、第1期分として納付したのは30ですが、損金経理したのは6月分の18のため、18のみを損金に算入できます。

7月決算の場合には、損金経理したのは6月分の18と7月分の17の35のため、35を損金に算入できます。同様に、8月決算の場合には52を、9月決算の場合には69を、10月決算の場合には86を、11月決算の場合には103を、12月決算以降の場合は120全額を損金に算入できます。

( 7 )「6月から12月にわたって月割計上」の問題点

賦課決定が6月初旬であるとして、12月までの7ヶ月にわたって月割配分しています。

固定資産税等の「期間」を観念すると、1月1日から12月31日までなので、12月までに全額を配分するのは合理的です。

しかし、課税時期は1月1日であるとすると、費用の及ぶ期間は1月から12月までとなります。確定金額が判明したのが6月になったにすぎません。

しかし、この方法では、本来ならば1月から12月まで12等分しなければならない費用を6月から12月までの7等分している点でこの期間のコストが高くなっており、逆に、1月から5月までは費用がゼロの状態になってしまいます。

これを解決する手段、それは1月分から5月分を見積額で計上するのです。

1月分から5月分に月割計上する金額(前年分で概算計上)

悩ましいのが、「1月1日の所有に係る納税通知書が来て税額が確定するのは6月なので、1月から5月まではどうするんだ?」ということになります。

この点、固定資産税については、前年から所有している土地や家屋分については、よほどのことがないかぎり前年から爆発的に増加しているわけではありません。よって前年と同じ額を見積り計上することで足りると思われます。

前年中に取得した土地や家屋についても、取得に際して支払った固定資産税等の精算金の資料により、前年の1年分の固定資産税等の金額を知ることができます。

償却資産税については、1月末に償却資産の申告を行うわけですが、近年は償却資産の申告をソフトで作成するのが一般的になりつつあります。これで、課税標準額がわかるため、償却資産税の納税通知(賦課決定)は土地家屋の固定資産税と同じく6月上旬ですが、よほどのことがないかぎり申告書と同額の課税標準額で税額が賦課・通知されるため、税額を見積り計上することが可能です。

( 8 )5月まで前年の額で概算計上、6月から確定額を月割計上 & 分割納付

上記の点を踏まえて、次のような会計処理を行います。

  • 土地や家屋については前年の固定資産税の実績値を12等分した額で1月分から5月分まで概算計上
  • 償却資産については1月に申告した償却資産申告の課税標準額を12等分した額で1月分から5月分まで概算計上
  • 6月に、1分月から5月分までの概算計上額を洗い替え、当年分の納税通知の額を12等分した額で1月分から5月分までの確定額を計上
  • 6月分から12月分まで当年分の納税通知の額を12等分した額で確定額を計上

この場合、6月に洗い替えが行われるまでの1月から5月までは「前年分の確定額」と「当年分の概算額」が計上されています。

そこで、勘定科目を別建て、あるいは、補助科目を追加して、確定額と概算額は峻別することが重要です。

ところで、法人税法上、事業年度終了時に債務の確定していない額は損金に算入できません(法人税法22条3項2号)。しかし、売上高に対する原価(売上原価)については、事業年度終了時の現況で適正に見積もられた額は損金に算入できます(法人税基本通達2-2-1)

このため、勘定科目を売上原価(製造費用)となる部分とそれ以外(販売費及び一般管理費など)となる部分等に分けるとさらに理想的です。

設例での仮定

  • 前年分の固定資産税等の額は96(12等分は8、分割納付(4等分)は24)
  • 当年分の固定資産税等の賦課決定額は120(12等分は10、分割納付(4等分)は30)
  • 固定資産税等の1/2が原価、1/2が一般管理費

前年12月末の段階

租税公課a⁄c に計上した額・・・96

前年12月までに固定資産税等の額はすべて計上しています。

未払金a⁄c の残高・・・24

分割納付のため、第4期分(翌年2月末が納期限)を未納としています。

1月

(借) 租税公課(概算 原価) 4 (貸) 未払金(概算 原価) 4
租税公課(概算 販管費) 4 未払金(概算 販管費) 4

未払金(概算 原価)a⁄c の残高・・・4

未払金(概算 販管費)a⁄c の残高・・・4

未払金a⁄c の残高・・・24

2月

(借) 租税公課(概算 原価) 4 (貸) 未払金(概算 原価) 4
租税公課(概算 販管費) 4 未払金(概算 販管費) 4

未払金(概算 原価)a⁄c の残高・・・8

未払金(概算 販管費)a⁄c の残高・・・8

未払金a⁄c の残高・・・24

2月末(前年分の第4期分納付)

(借) 未払金 24 (貸) 預金等 24

未払金(概算 原価)a⁄c の残高・・・8

未払金(概算 販管費)a⁄c の残高・・・8

未払金a⁄c の残高・・・0

3月

(借) 租税公課(概算 原価) 4 (貸) 未払金(概算 原価) 4
租税公課(概算 販管費) 4 未払金(概算 販管費) 4

未払金(概算 原価)a⁄c の残高・・・12

未払金(概算 販管費)a⁄c の残高・・・12

4月

(借) 租税公課(概算 原価) 4 (貸) 未払金(概算 原価) 4
租税公課(概算 販管費) 4 未払金(概算 販管費) 4

未払金(概算 原価)a⁄c の残高・・・16

未払金(概算 販管費)a⁄c の残高・・・16

5月

(借) 租税公課(概算 原価) 4 (貸) 未払金(概算 原価) 4
租税公課(概算 販管費) 4 未払金(概算 販管費) 4

未払金(概算 原価)a⁄c の残高・・・20

未払金(概算 販管費)a⁄c の残高・・・20

6月(概算計上分の洗い替え)

6月に当年分の税額の賦課決定がされたため、5月までの概算計上額を戻して、本年分の5月分までの5ヶ月相当額の費用を計上します。基本的なイメージは次のとおりです。

(借) 未払金(概算 原価) 20 (貸) 租税公課(概算 原価) 20
未払金(概算 販管費) 20 租税公課(概算 販管費) 20
(借) 租税公課(原価) 25 (貸) 未払金 50
租税公課(販管費) 25

未払金(概算 原価)a⁄c の残高・・・0

未払金(概算 販管費)a⁄c の残高・・・0

未払金a⁄c の残高・・・50

未払金a⁄c は確定額のため全額損金に算入されることから、相手科目が原価か販管費かで分けていません。

途中で決算月が到来している場合は、債務勘定(未払金)は残っていますが、損益勘定はクリアされます。この場合には次のような仕訳となります。

(借) 未払金(概算 原価) 20 (貸) 未払金 50
未払金(概算 販管費) 20 租税公課(概算 原価) ×
租税公課(原価) × 租税公課(概算 販管費) ×
租税公課(販管費) ×

6月(当年分の月割計上)

(借) 租税公課(原価) 5 (貸) 未払金 10
租税公課(販管費) 5

未払金a⁄c の残高・・・60

確定額なので、勘定科目も租税公課a⁄c 、未払金a⁄c を使います。

6月末(第1期分納付)

(借) 未払金 30 (貸) 預金等 30

未払金a⁄c の残高・・・30

7月

(借) 租税公課(原価) 5 (貸) 未払金 10
租税公課(販管費) 5

未払金a⁄c の残高・・・40

8月

(借) 租税公課(原価) 5 (貸) 未払金 10
租税公課(販管費) 5

未払金a⁄c の残高・・・50

9月

(借) 租税公課(原価) 5 (貸) 未払金 10
租税公課(販管費) 5

未払金a⁄c の残高・・・60

9月末(第2期分納付)

(借) 未払金 30 (貸) 預金等 30

未払金a⁄c の残高・・・30

10月

(借) 租税公課(原価) 5 (貸) 未払金 10
租税公課(販管費) 5

未払金a⁄c の残高・・・40

11月

(借) 租税公課(原価) 5 (貸) 未払金 10
租税公課(販管費) 5

未払金a⁄c の残高・・・50

12月

(借) 租税公課(原価) 5 (貸) 未払金 10
租税公課(販管費) 5

未払金a⁄c の残高・・・60

12月末(第3期分納付)

(借) 未払金 30 (貸) 預金等 30

未払金a⁄c の残高・・・30

翌年1月

(借) 租税公課(概算 原価) 5 (貸) 未払金(概算 原価) 5
租税公課(概算 販管費) 5 未払金(概算 販管費) 5

未払金(概算 原価)a⁄c の残高・・・5

未払金(概算 販管費)a⁄c の残高・・・5

未払金a⁄c の残高・・・30

翌年分の固定資産税等が不明のため、前年(本年)実績を12等分した額を概算計上します。

翌年2月

(借) 租税公課(概算 原価) 5 (貸) 未払金(概算 原価) 5
租税公課(概算 販管費) 5 未払金(概算 販管費) 5

未払金(概算 原価)a⁄c の残高・・・10

未払金(概算 販管費)a⁄c の残高・・・10

未払金a⁄c の残高・・・30

翌年2月末(第4期分納付)

(借) 未払金 30 (貸) 預金等 30

未払金(概算 原価)a⁄c の残高・・・10

未払金(概算 販管費)a⁄c の残高・・・10

未払金a⁄c の残高・・・0

翌年3月

(借) 租税公課(概算 原価) 5 (貸) 未払金(概算 原価) 5
租税公課(概算 販管費) 5 未払金(概算 販管費) 5

未払金(概算 原価)a⁄c の残高・・・15

未払金(概算 販管費)a⁄c の残高・・・15

翌年4月

(借) 租税公課(概算 原価) 5 (貸) 未払金(概算 原価) 5
租税公課(概算 販管費) 5 未払金(概算 販管費) 5

未払金(概算 原価)a⁄c の残高・・・20

未払金(概算 販管費)a⁄c の残高・・・20

翌年5月

(借) 租税公課(概算 原価) 5 (貸) 未払金(概算 原価) 5
租税公課(概算 販管費) 5 未払金(概算 販管費) 5

未払金(概算 原価)a⁄c の残高・・・25

未払金(概算 販管費)a⁄c の残高・・・25

決算月別の損金算入時期

決算月にかかわらず、賦課決定のあった事業年度に損金算入できるのが原則です。つまり、会計上費用処理していない額を法人税の申告で当期純利益から減算できます。ただし、この処理を行わない場合は次のとおりとなります。

「当年」5月決算では、当年分の固定資産税等の賦課決定が行われておらず、前年分の固定資産税等の額を基礎に概算計上した50が計上されています。この50については概算計上額であるため、全額が損金に算入されません。ただし、租税公課のうち売上原価を構成している部分(25)については損金に算入されます(法人税基本通達2-2-1)。なお、前年分の固定資産税等については全額損金に算入されます。

6月決算では、当年分の固定資産税等のうち、損金経理したのは60なので60を損金に算入できます。同様に、7月決算では70、8月決算では80、9月決算では90、10月決算では100、11月決算では110、12月決算では120(全額)を損金に算入できます。

「翌年1月」決算では、まず、当年分の固定資産税等120は全額損金に算入されます。次に、翌年分の固定資産税等の賦課決定が行われておらず、前年分の固定資産税等の額を基礎に概算計上した10が計上されています。このうち、売上原価を構成している部分5については損金に算入されます(法人税基本通達2-2-1)。同様に、「翌年2月」決算では概算計上のうち10、「翌年3月」決算では概算計上のうち15、「翌年4月」決算では概算計上のうち20、「翌年5月」決算では概算計上のうち25を損金に算入できます。

( 9 )固定資産を取得した場合の固定資産税等の精算金の処理

固定資産税等の精算金の額については「固定資産の取得価額を構成する」「家屋に係る部分や償却資産税については消費税の課税取引となる(仮払消費税等の発生)」は言わずもがなの知識です。

純理論的には、期間に応じて支払った精算金なので、取得した固定資産の保有に係る費用ということで期間費用を構成しそうですが、法人税法上の理論によれば、当該精算金は固定資産の売買価格の調整として取得価額を構成するのです。

実務上も慣行として定着していると思われます。

もし、純会計理論的な方々から、「精算金部分は期間費用にせよ」と無茶ぶりされたらどうすればよいでしょうか。

まず、固定資産台帳上でバーチャルな固定資産を計上して法定耐用年数で減価償却を行います。

つぎに、取得日の属する事業年度の法人税の申告では、減価償却の対象となる土地以外の固定資産税等の精算金について、別表四で全額加算(留保)したうえで、当期の償却限度額を減算(留保)します。結果的に税務上の簿価分が別表五(一)の「減価償却超過額」として翌期以降に繰り越されます。

いっぽう、会計上は一時差異として税効果を入れます。

(おわり)