給料明細を疑え(天引き額のチェック)

月々の給料で天引きされた所得税(源泉徴収された所得税と復興特別所得税、いわゆる「源泉所得税」)は誤りがあっても年末調整や確定申告などで修正されますが、天引きされた社会保険料等(従業員等が負担する部分、いわゆる本人負担分)はブラックボックス化しがちです。

ただでさえ給料明細もペーパーレス化している時代、ちゃんとチェックしないともらいはぐっているかもしれません。

最も重要で間違ってはいけないもののひとつ

およそサラリーマン(ウーマン含みます。以下同じです)のもっとも重要なもののひとつが給料です。 ゆえに、給料計算はビジネスにおいて間違ってはいけないものといえます。

現在の給料計算ソフトは、「インプットさえ正しければ」アウトプットされた数値は間違いのない正確な情報です。 すると重要なのは「インプットが正しいのかどうか」ということです。

では、インプットするのは誰か、それは今のところニンゲンが行っています。

ところで、給料明細でチェックするのは、せいぜい時給や残業代がキチンと反映されているのかということです。いっぽう、天引きされている金額は「そういうもんなんだ」「まあ正しいだろう」とまったくチェックしない人が圧倒的多数ではないかと思われます。

実は、もっと重要なのは給料から天引きされるいろいろな項目の金額の正確さなのです。過大に天引きされ、手取り額が減っている可能性だってあるのです。

とくに、社会保険料等の天引きは、年末調整や確定申告でも調整されないブラックボックスのようなものなのです。

お給料計算のおさらい

  • 今月支払うべき給料の額を確定させます。手当や残業手当、通勤費なども加算します。
  • 支払うべき給料から社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料、雇用保険料など)と税金(所得税と住民税)を天引きします。
  • さらに、経費精算や社内的な旅行積立金などを増減して最終的に従業員等に支払う額(従業員等が受け取る額)が決まります。

給料計算が正しいかどうかチェックする前に、給料計算のうち天引きの額についてのルールを知らないと恥をかいたり、はたまた、ただのクレーマーということになってしまいます。

天引きのルール(所得税)

天引きされる所得税は毎月の実際の給料によって決まる

給料から天引きされる所得税(源泉所得税)の額は、「各月に支払われる給料の支給額のうち所得税が課税される部分」から、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などの法令等で定められた額を差し引いた金額に基づいて決まります。

「各月に支払われる給料の支給額のうち所得税が課税される部分」は、給料明細では「課税支給額」などと書かれていることが一般的です。「課税」というのはここでは所得税が課されるという意味です。

重要なのは、天引きされる所得税等の額は、その月の実際の支給額によって決まるため、残業代などで毎月給料額が変わる人は、毎月天引きされる所得税も変わることになります。

通勤費には所得税は原則かからない

ところで、「各月に支払われる給料の支給額のうち所得税が課税される部分」ということは、「各月に支払われる給料の支給額のうち所得税が課税されない部分」があるということです。

「各月に支払われる給料の支給額のうち所得税が課税されない部分」の典型が通勤交通費です。

所得税が課税されないため、通勤費は給料明細には「非課税(支給額)」として記載されることが一般的です。

つまり、通常の場合、通勤費を除くすべての支給部分が「課税支給額」となります。

もっとも、通勤費ならすべて所得税等がかからないのではなく限度額があり、超えた部分は課税支給額に含まれることになりますちなみに、電車とバスを使う場合は月15万円、クルマ通勤の場合は距離によって異なりますが、片道2km未満は全額課税、片道55km以上は1ヶ月31,600円が限度額です。

いわゆる現物給与や経済的利益にも所得税はかかる

いっぽう、「各月に支払われる給料の支給額のうち所得税が課税される部分」には、おカネで支払われる部分のほか経済的利益も含まれます。

経済的利益は、イメージ的には「従業員等が個人的に負担すべきものを勤務先が負担した(つまり、勤務先から利益を得た)」ものをいいます。従業員等としては、負担が減ったということはつまり利益を得たということで、これを得た人には原則として税金がかかるということです。

典型例が、勤務先の社宅、あるいは、勤務先が契約して勤務先が家賃を払っている住宅(いわゆる借り上げ社宅)に住んでいる場合です。従業員等本人が支払うべき家賃を勤務先が払っていることから、まさに従業員等本人は経済的利益を受けていることになります。

ただし、勤務先が家賃の一部を天引きすれば、所得税は課税されないことになっています。

いくら天引きすれば所得税は課税されないかについては、役員か従業員かによって異なりますが、従業員の場合は「次の合計額の50%以上」を天引きすれば所得税は課税されません。

  • (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
  • 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
  • (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

この合計額は、勤務先が貸主に支払っている実際の家賃よりも相当低い金額です。それの50%を天引きすればいいわけです。

たとえば、勤務先が貸主に支払っている実際の家賃は月15万円、上記の合計額が8万円だった場合には、従業員から4万円以上天引きしていれば従業員の給料とはなりません。別の見方をすれば、本来ならば自分で家賃を払う場合は15万円なのに、4万円負担するだけで所得税が課されない、つまり、差額11万円は所得税等が非課税になり通勤費と同じということになります。

11万円の住宅手当をもらった場合ではまるまる所得税等が課税されますから、いかにお得かということになります。

ちなみに、この例で、従業員からまったく天引きしていない場合には、8万円(15万円ではありません)が給料として所得税が課税されます。2万円しか天引きしていない場合には、6万円(=8万円-2万円)が給料として所得税が課税されます。

経済的利益の詳細は「源泉徴収のしかた」というパンフレットが詳しいです。国税庁サイトから入手できます。

天引き額(源泉徴収税額)の計算

「各月に支払われる給料の支給額のうち所得税が課税される部分」すなわち「課税支給額」から、さらに健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料を差し引いた額(「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」)によって、当月天引きされる(=源泉徴収される)所得税が決まります。

課税支給額-社会保険料等=その月の社会保険料等控除後の給与等の金額

「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」は、給料明細には「社保控除後(額)」などとして記載されます。

実務上は、「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」と「源泉徴収税額表」によります。これも国税庁サイトから入手できます。

源泉徴収税額表は、国税庁サイトから容易に入手できます。月額表か日額表か、甲欄か乙欄か、甲欄ならば扶養家族の数によって決まります。

立替えとその精算には所得税はかからない(当たり前)

さて、「従業員等が個人的に負担すべきものを勤務先が(いったん)支払って、給料支払いのときに天引きされる」場合は、勤務先の立替払いとその精算なので、所得税はかかりません(かかるはずはありません)。

逆に、「勤務先の経費(交通費や出張費など)になるものを従業員等が個人的に立て替えていて、給料支払いのときに振り込まれる(精算される)」場合も、従業員等の立替払いの精算のために勤務先からの入金で給料とは無関係であり、同様に所得税はかかりません(かかるはずはありません)。

チェックポイント

給料計算ソフトなどで計算している場合、「入力が正しければ」計算は間違いありません。

給料明細のポピュラーな体裁は、「支給額合計」から「控除額合計」を差し引いたものが「差引支給額」となります。

ここでは、「支給額合計」の部分のチェックについて検討します。

「支給額合計」は「課税支給額合計」と「非課税支給額」からなります。「課税支給額合計」は基本給から〇〇手当などを加算した額で、非課税支給額は通勤費であることが一般的です。

ところが、通勤費は限度額以内であれば非課税であるのに、非課税の部分も含めて「課税通勤費」として誤って入力されていると給料として課税されてしまいます。とくに、6ヶ月分の定期券の場合、非課税限度を超えることがあります。入力上何らかの調整をせず入力されていると限度額を超えて「課税通勤費」となってしまいます。なお、入力上何らかの調整については後述します。

また、経費精算として支払いを受ける額が誤って「課税支給額」として入力されていると給料として課税されてしまいます

入力さえ正しければ、天引きされる所得税は自動で間違いなく計算されますが、入力が間違えていたり、ヒトが計算している場合には源泉徴収税額表によってチェックされることをオススメします。

実は、月々の給料の給料で天引きされる所得税の額が仮に間違えていても、年末調整や確定申告で修正されます。

天引きのルール(住民税)

天引きされる住民税は毎月一定

サラリーマンの場合、少なくともお給料に係る住民税は、自分が納めるのではなく、勤務先が本人の給料から天引き(特別徴収)して翌月10日までに納めることになっています。

天引き(正確には所得税の「源泉徴収」に対して「特別徴収」といいます。)される住民税は、所得税と異なり各月の給料金額によっていくらになるのか決まるのではなく、実は去年の所得に基づいて居住する市区町村が計算しています。

よって、住民税のは各月のお給料の額とは何の関係もありません。

ところで、市区町村がなぜ住民の所得を知ることができるのでしょうか。実は勤務先は源泉徴収票とほぼ同じもの(給与支払報告書)を従業員等の居住する市区町村に提出しています。また、所得税の確定申告による情報が市区町村にも伝わります。

市区町村は1月1日現在の住民の所得から住民税を算定して、勤務先に「この人からは毎月この金額を天引きして(翌月に納付して)ください」という通知を出します。

ここで、勤務先は、従業員等の副業情報を知ることができます(ただ、最近は所得の情報はマジックテープなどで保護されています)。

チェックポイント

勤務先が受け取る住民税の特別徴収についての情報は、従業員等にも伝えることになっています(もともと事業所(勤務先)用と本人用の2つが作られています)

勤務先から受け取っていない場合には、必ず勤務先から入手しましょう

これをあらためてチェックして、天引きされている金額が間違っていないか確認しましょう。

ちなみに、賞与で住民税が天引きされることはありません。万が一、天引きされているとしたら、何らかの事情でその月の給料で天引きし忘れたかどうかチェックしましょう。

天引きのルール(社会保険料)

健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料

健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料の金額は、原則として毎年1回だけ変わることがあり、月々の給料の額で変動することはありません。

天引きされる健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料の金額は「標準報酬月額」によって決まります。

この標準報酬月額は、数万円刻みで等級が分かれていて、等級ごとに事業主(勤務先)と被保険者(従業員等本人)が負担する保険料が定められています。

標準報酬月額の決まり方は、勤務先は毎年4月、5月、6月に支払った給料を健康保険組合や年金事務所等に届け出ると、9月分(通常の場合は1月ズレて10月支給の給料から天引き)から翌年8月までの標準報酬月額が通知されます。これが定時決定です。

この標準報酬月額の算定の基礎となる給料は、所得税が課されない通勤交通費も含めます。ここが重要です。所得税と社会保険料は違うのです。

また、現物給与などの経済的利益(家賃や食事代など)も含まれます。ただし、所得税の場合とは別のルールに基づいて計算されます。

標準報酬月額の決まり方は、勤務先は毎年4月、5月、6月に支払った給料を健康保険組合や年金事務所等に届け出ると、定時決定により、基本的に標準報酬月額は9月分(通常の場合は1月ズレて10月支給の給料から天引き)から翌年8月まで変わりません。

つまり、月々の給料の変動には天引きされる保険料は影響を受けないのです。

ただし、定時決定のほかに、天引きされる保険料が変わることがあります。

まず、春と秋に天引きする料率の変更があるため、標準報酬月額は同じでも天引きされる保険料が変わる場合があります。

また、昇給や降給などの固定的賃金が変動し、変動月から3か月間に支給された報酬の平均月額に該当する標準報酬月額と従前の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた場合には、標準報酬月額が変動します(随時改定)。

この随時改定については、改定するのかしないのか、そして、改定したとして、改定後の標準報酬月額で天引きされる保険料はどの月の給料からなのかが極めて重要です。

いっぽう、賞与は異なります。

賞与の場合には、標準報酬月額ではなく標準賞与額(実際の支給額の1,000円未満を切り捨てた額)をベースに天引きする保険料を算定します。ただし、賞与に特殊なルール(上限があり、健康保険料や介護保険料は4月から3月までの累計で573万円、厚生年金保険料は支給月につき150万円)があります。

賞与の保険料の納付は、標準報酬月額で保険料が決まる一般的な給料の場合と若干異なり、まず従業員等への支払いにあたって保険料の計算を行って従業員等負担分を天引きし、賞与の支給から5日以内に年金事務所等に申告し、その後年金事務所等から給料と合わせて保険料の納付書が来ます。タイミングがひと月遅れであることは変わりません。

雇用保険料

健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料とは異なり、雇用保険料の場合には、各月の実際の給料の額によって天引きする額が決まります。

各月の実際の給料の額を基礎にするので、残業手当などで毎月の給料が増減する人は毎月雇用保険料の額が増減します。

天引きする雇用保険料の算定の基礎となる給料は、所得税が課されない通勤交通費も含めます。ここが重要です。所得税と雇用保険料は違うのです。

このため、雇用保険料の算定根拠となる各月の給与支給額(金銭や現物給与額)と所得税が課されない通勤交通費を合計した額を、給与明細では「労保対象額」などと記載されたりします。

チェックポイント

所得税とは異なり、健康保険料などの天引きの間違いは、年末調整や確定申告では修正できません。 源泉徴収票には1年間の天引きの合計が「社会保険料控除の額」に記載されるだけです。

真剣にチェックしましょう。

勤務先は従業員等に標準報酬月額を通知しなければならないため、勤務先に自分の標準報酬月額を照会し、天引きされている保険料が正しいかどうかチェックしましょう

健康保険料については、健康保険証などから勤務先が加入している健康保険の種類(協会けんぽや健康保険組合)が判明しますので、サイトにアクセスして天引きされている金額が正しいかチェックします。

1等級違う額で天引きされていたり、随時改定で変更した標準報酬月額に係る保険料の天引きのタイミングが間違えていたり、40歳になったのに介護保険料が天引きされていない(または40歳未満なのに介護保険料が天引きされている)など、給料計算ソフトへの入力ミスなどによりしばしば起こりうることなのです。

随時改定については、細かいルールがあり個々の事情によって異なるので、自分に当てはまるケースについてちゃんと勉強して納得いくまで確認しましょう。

給料計算する立場からすると、とくに間違いやすいのは保険料が増減するタイミング、つまり、「何月の給料から変えるのか」ということです

健康保険料などは「ひと月遅れ」となります。つまり、勤務先が納付する「4月分」の健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料の納付期限は5月末です。よって、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料の額は、1ヶ月後の給料すなわち5月分の給料で天引きすることが一般的です。従業員等が4月に入社した場合にも、4月は健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料は控除されず、5月の給料で「4月分」が控除されます。

定時改定の場合は9月分の保険料から変わります。上記の例では10月分の給料の天引き額から変わることになります。ところが、「9月分」だからといって9月分の給料から定時改定の天引き額を変えてしまうと「天引きしすぎ」ということになります。

随時改定の場合でも、年金事務所等から新たな標準報酬月額と変更する月が通知されます。この月を給料の支給月を混同してしまうと、「天引きモレ」「天引きしすぎ」ということになります。

さらに、賞与の場合には、独特のルール(上限があり、健康保険料や介護保険料は4月から3月までの累計で573万円、厚生年金保険料は支給月につき150万円)があるため、手計算で行うとつい間違いやすいです。しっかりチェックしましょう。

いっぽう、雇用保険料の場合には、このような月遅れということはなく、最初の給料から天引きが始まります。また、標準報酬月額ではなく、各月の実際の給料の額を基礎にするので、残業手当などで毎月の給料が増減する人は毎月雇用保険料の額が増減します。

天引きする雇用保険料の算定の基礎となる給料は、所得税が課されない通勤費も含めます。この通勤費はひと月あたりの額です。

自分がチェックした金額と合わない理由としてもっとも考えられるのが、通勤費を含めていないということです。

ミスがあった場合のリカバリー

さて、先ほど申し上げたとおり、月々の給料で天引きされる所得税の額は、「社会保険料等を控除した後の金額」をベースに行います。また、年末調整や確定申告では、基礎控除や扶養控除と同じ社会保険料控除として所得から差し引かれたところで所得税の額が計算されます。

換言すれば、天引きされた社会保険料等が大きい場合には源泉徴収される所得税(結果としてその後の住民税も)が過少となり、小さい場合には源泉徴収される所得税が過大となっているということです

ただ、社会保険料等だろうと所得税だろうと、給料から差し引かれ手取りが減ることには変わりません。 どちらがトクかの問題ではなく、正しい金額がいいに決まってます

正しい金額が天引きされているのか、絶対に確認しましょう。

さらに、どんな修正がされているかまでチェックすべきです。

社会保険料の天引きミスは、給料計算上は「社会保険料の控除」のところで修正されていなければなりません。なぜなら、支給される給料の額から社会保険料の額を差し引いたところで所得税の天引き額が決まるからです。

社会保険料の精算額を、経費精算などと同じ「差引支給額」の調整のところでやってしまうと、所得税の計算に反映されないため、正しい所得税額(そして住民税額)が算定されないことになってしまいます。

社会保険料については、勤務先(給料支払事務所)ごとに一括して勤務先負担分と従業員等本人負担分の合計額が記載された納付書が来るだけなので、従業員等の個々の天引き額が妥当なのかどうかは支払う方がなかなかチェックできません。

天引きされている方は、「間違っていないだろう」としてしまいがちなので、ブラックボックス化してしまい、しかも、所得税のように年末調整や確定申告で精算されることはありません。

その他の天引き項目

借り上げ社宅などの天引き

先ほど、おカネで支払われる部分のほか経済的利益を受けた場合にも給料として所得税が課税されると申し上げました。

経済的利益は、イメージ的には「従業員等が個人的に負担すべきものを勤務先が負担した(つまり、勤務先から利益を得た)」ものをいいます。従業員等としては、負担が減ったということはつまり利益を得たということで、これを得た人には原則として税金がかかるということです。

典型例が、勤務先の社宅、あるいは、勤務先が契約して勤務先が家賃を払っている住宅(いわゆる借り上げ社宅)に住んでいる場合です。従業員等本人が支払うべき家賃を勤務先が払っていることから、まさに従業員等本人は経済的利益を受けていることになります。

ただし、勤務先が家賃の一部を天引きすれば、所得税は課税されないことになっています。

ただし、このコラムでは税金や社会保険料がどうかというのが目的ではありません。「天引き額が妥当かどうか」というものです。

たしかに、住宅手当でもらうか、借り上げ社宅で天引きされるかは勤務先判断ということになります。上記の例で4万円でなくて5万円、ひょっとしたら15万円まるまる天引きされていても、雇用契約がそうなっていればしかたありません。ただし、雇用契約と異なっていたらやはり勤務先に照会して疑問を解決しておく必要があるでしょう。

まとめ

ついつい残業代が正しいかしかチェックせず、「ふーん、こんなに引かれてるのか」ということになりがちです。

うっかり間違えられているのならともかく、そうでない場合だったら大変なことです。

きちんとチェックしましょう。

(おわり)