不動産投資の成否を判断するための物件別不動産キャッシュ・フローの把握と応用

不動産賃貸を行っている場合、とくに、複数の物件について行っている場合には、不動産所得の計算のみならず、物件別のキャッシュ・フロー、すなわち、この物件からいったいいくらのキャッシュを得たのかを把握することが重要です。

物件別の不動産キャッシュ・フローを把握することで、相続税対策をしている場合には、将来の状況を予測し、新たな対策を講じたり、物件を売却するのはどのタイミングかをイメージすることができます。

( 1 )そもそも不動産投資の成否とは?

不動産賃貸で重要なのは、つまるところ、物件からどれだけのキャッシュを生み出したのかということと思われます。

「この物件からどのくらいのキャッシュの流入があったのか」「その物件の取得に要した支払い(初期投資)をどれだけ回収できたのか(上回ったのか)」「借入金で物件を取得した場合、物件を売却したときに借入金を全額返済して手元にどれだけ残るのか」です。

( 2 )所得税の不動産所得情報の限界

不動産投資の成否の判断は、所得税を計算するルールで行われた不動産の損益によってではなく、まさにキャッシュの増減で行われなければなりません。

不動産投資の場合誤解しやすいのは、税金(所得税)の計算で投資の成否を判断しがちです。保有中の賃貸料収入からの利益(所得)が出て所得税を納めれば「もうかっている」と思い、投資が成功しているかのように思いがちなことです。

( 3 )不動産投資の損益分岐点とは

初期の自己資金支出額(マイナス)から投資後のキャッシュ・フロー累計額(通常プラス)を合計した金額に、想定される売却時点における債務(敷金や借入金残高)を合計した額が、想定される売却時点における損益分岐点売却額となります。

( 4 )不動産投資の成否を判断するためのキャッシュ・フローとは

不動産投資の成否を判断するためのキャッシュ・フロー情報の内容についてコメントいたします。

( 5 )投資後のキャッシュ・フローを把握するための会計処理

不動産投資の成否の判断は、所得税を計算するルールで行われた不動産の損益によってではなく、まさにキャッシュの増減で行われなければなりません。いっぽう、不動産所得については所得税の確定申告を行っているわけですから、その会計情報を十分に活用する必要があります。

会計情報もただ税金を正しく計算できればいいというのではなく、キャッシュ・フロー情報をつかめるような会計情報を作るようにする必要があります。

( 6 )不動産投資の成否の判断

「この物件からどのくらいのキャッシュの流入があったのか」「その物件の取得に要した支払い(初期投資)をどれだけ回収できたのか(上回ったのか)」「借入金で物件を取得した場合、物件を売却したときに借入金を全額返済して手元にどれだけ残るのか」です。

( 7 )物件別不動産キャッシュ・フローの相続税対策への応用

相続税対策として不動産賃貸を行っている場合、土地の場合には、路線価が上昇すればその土地の相続税の評価額が上昇し、いっぽう、借入金を返済すればどんどん残高は減っていきます。 たとえば年末や路線価発表された月の末日を基準にして、土地と家屋の相続税評価額と借入金残高とのバランスをチェックすることが重要です。 さらに、将来のバランスをシミュレーションすることによって、新たな対策を打つタイミングや物件を売却するタイミングをイメージすることが可能になります。