( 3 )対価は税込みか税抜きか・・交渉とその後の影響

事業用不動産(土地と家屋)の売買交渉にあたり、消費税込みの総額ベースでの交渉と、本体価格ベースでの交渉とで、土地の家屋の対価の割合の与える影響を検討します。

土地の取引は消費税の非課税取引ですが、家屋の取引は消費税の課税取引のため、家屋の対価には消費税等の受け払いが生じます。

総額ベースでの交渉の場合、総額が固まっているため、家屋の対価の割合が高いほど、総額に含まれる消費税等の額が大きくなります。このため、売主にとっては実質的な手取り額が減ることになるため、土地の対価の割合が高いほうが通常は有利となります。しかし、土地の対価の上昇は非課税売上の増加を通じて売主の消費税の申告で控除対象外消費税等の発生または増加となります。

総額ベースでの交渉の場合、買主にとっては支払総額が固まることになります。また、家屋の対価の割合が高いほうが買主にとっては減価償却資産である建物の取得価額が増えて消費税の申告による当該消費税等の回収が早まることになります。

本体価格ベースでの交渉の場合、売主にとっては、家屋の対価の割合が高いほど消費税等の受取り額が増えるため短期的なキャッシュフローは有利となり、また、土地の対価が相対的に減ることによる非課税売上の減少を通じて消費税の申告での控除対象外消費税等の回避または減少となります。

本体価格ベースでの交渉の場合、買主にとっては、家屋の対価の割合が高いほど支払総額が増えるため短期的なキャッシュフローは不利となりますが、家屋の対価の増加は減価償却資産の増加(減価償却による投下資本回収)が期待できるほか、消費税の申告方法によっては早期に消費税等の額を回収することができます。

総額ベースでの交渉の場合

当事者間の取引の対価の交渉にあたり、「(消費税込みの)総額」ベースで交渉を行っているものとします。

総額ベースでの交渉では、受け払いの総額が固定されているために、その内訳、すなわち、土地と家屋の区分が重要になります。

たとえば、土地と家屋で消費税込み10億円のうち土地が6億円で家屋が4億円だとします。

消費税法によれば、土地の取引は非課税取引となります。よって、土地の取引に際して当事者間での消費税の受け払いはありません。

いっぽう、家屋(建物)の取引は課税取引となります。よって、家屋の取引に際して当事者間で消費税の受け払いをする必要があります。

家屋4億円は消費税込みで4億円ということになります。つまり、消費税率10%とすると、家屋の4億円は、本体価格が363,636,364円、消費税等の額が36,363,636円となります。

  • 土地 600,000,000円
  • 家屋 363,636,364円
  • 消費税等 36,363,636円
  • 合計 1,000,000,000円

次に、土地と家屋で消費税込み10億円のうち土地が5億円で家屋が5億円だとします。

家屋5億円は消費税込みで5億円ということになります。つまり、消費税率10%とすると、家屋の5億円は、本体価格が454,545,455円で消費税等の額が45,454,545円となります。

  • 土地 500,000,000円
  • 家屋 454,545,455円
  • 消費税等 45,454,545円
  • 合計 1,000,000,000円

つまり、取引金額の総額は10億円で同じでも、そのうち、家屋(税込み)4億円では、10億円のうち消費税等の額は36,363,636円となります。いっぽう、家屋(税込み)5億円では、10億円のうち消費税等の額は45,454,545円となります。

つまり、総額が固まっていると、家屋の割合が大きくなればなるほど、家屋の対価に係る消費税等の額の「食い込み」が増えることになります。

なお、この売買契約書に係る印紙税は、記載金額が10億円以下のため16万円となります(軽減措置適用後)。

売主にとって

売主にとって、家屋の売却で買主から預かった消費税等の額は、消費税の申告で国に納税することになります。つまり、預かった消費税等の額は手元に残らないことになります。

つまり、消費税を含めた総額ベースでの交渉は、売主にとっては通常不利ということになります(ただし、当該年分の消費税の申告で納税義務が免除されている場合などは異なります。後述)。

売主にとっては、消費税が非課税となる土地の割合が高ければ高いほど実質的な収入金額は増えることになります。

譲渡所得の計算

賃貸不動産から得られる所得は不動産所得となり、給与所得や雑所得などその他の所得と合算されて所得税が課されます(総合課税)。

いっぽう、土地や家屋を譲渡した場合は譲渡所得となり、他の所得とは別に独自の税率による所得税が課されます(分離課税)。これは、不動産所得の基因となる土地や家屋を譲渡した場合でも同様です。

譲渡所得の収入金額は買主から受け取る金額ですが、収入金額に家屋の売却に係る仮受消費税等の額を含めるか含めないかが問題となります。取引総額が固まっていると、家屋の占める割合が大きいほど消費税等の額が増え、本体価格そのものが減ります。譲渡所得の収入金額に仮受消費税等の額を含めるか否かは、譲渡所得の額と譲渡所得に係る所得税等の額に影響を及ぼします。

この点については、不動産所得の経理が税込経理方式か税抜経理方式かによります。

税込経理方式を採っている場合には、譲渡所得の収入金額に家屋の売却に係る仮受消費税等の額を含め、税抜経理方式の場合には含めないことになります。

税込経理方式の場合には、譲渡所得の計算上、収入金額は家屋の売却に係る消費税等を含めた金額となります(上記の例では10億円)。売主の当該年分の不動産所得(を含めた総合所得)に課される所得税等の累進税率よりも譲渡所得に係る税率のほうが低いときは、売主にとって有利となります。とくに、売主にとって当該年分の消費税の申告が免除される(免税事業者)場合には預かった消費税等を納税しなくて済み、しかも、当該消費税等は譲渡所得の収入金額に含まれるため譲渡所得は増えますが譲渡所得の低い税率により負担も少なくなります。

税抜経理方式の場合には、家屋の割合が増えて預かる消費税等の額が増えるほど、取引総額が固まっていることから本体価格が小さくなり、譲渡所得の収入金額(税抜経理のため消費税等は含まれません。)が減り、結果として譲渡所得及び譲渡所得に係る所得税等の額が減ることになります。

消費税の申告

取引総額が固まっていると、家屋の割合が大きくなればなるほど、家屋の対価に係る消費税等の額の「食い込み」が増えることになります。消費税等の額は消費税の申告で国に納税するため、預かった消費税等の額は手元に残らないことになります(免税事業者や簡易課税制度でない一般課税の場合)。

この点で、売主にとっては、取引金額に占める土地の割合が高ければ高いほど実質的な収入金額は増えることになります。

ただし、売主にとっては、取引金額に占める土地の割合が高いことによるデメリットもあります。

土地の取引は消費税の非課税取引です。非課税売上高は、消費税の申告における課税売上割合を低下させます。課税売上割合が低下すると、売主の消費税の申告において、当年に支払った消費税等(仮払消費税等)の全額が控除できない、あるいは、控除できない額が増加します(控除対象外消費税等)。

この控除対象外消費税等は、最短で当該年分、最長で5年にわたって不動産所得の必要経費となって所得税等を減少させるにとどまります。 つまり、キャッシュフロー的には、控除対象外消費税等については、各年分の(不動産所得を含めた総合課税の合計)所得に係る所得税等の税率を乗じた額が回収できるにとどまります。

なお、売主にとって土地の売却が単発のものであり、当該売却(非課税売上)により低下した課税売上割合によって仮受消費税等の額から差し引く仮払消費税等の額を計算すると実態にそぐわない場合には、「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を提出して当年中に承認を受ければ、当年分の課税売上割合ではなく当年分の前3年の通算課税売上割合か前年分の課税売上割合のどちらか低い割合を用いることができます。

以上のことから、売主としては、当該年分の消費税の申告がどうなるのか(通常の申告(一般課税)か、簡易課税か、免税事業者)かをあらかじめ確認する必要があります。一般課税による申告の場合、土地の売上による課税売上割合の低下がどの程度か、とくに当該年に買主として建物や機械等を取得して多額の仮払消費税等の発生があるかどうかも念頭に置いて検討する余裕も必要です。

ちなみに、売主の当該年分の消費税の申告が簡易課税制度となる場合には、当該取引については第六種事業としてみなし仕入率40%となります。たとえば、家屋(税込み)4億円では、預かる消費税等の額36,363,636円のうち、その40%である14,545,454円の消費税等を支払ったものとみなして申告税額を計算します。みなし計算された仮払消費税等の額が実際に支払った仮払消費税等の額よりも大きいと納税額が小さくなり、受け取った消費税等が手元に残ることになりますが(雑益、雑収入)、この部分については不動産所得となって所得税等が課されます。

買主にとって

逆に、買主にとっては、消費税込みの総額ベースでの交渉は有利です。取引総額が固まっているということは、家屋の取引に係る消費税等の額の影響で支払金額が膨らんでしまうことがないからです。

とはいえ、土地と家屋の割合がどうなるのかは重大な影響を与えます。

必要経費となるかどうか

不動産所得の計算上、土地も家屋(建物)も固定資産としなければならず、その支出額を取得の日の属する年分の不動産所得の必要経費とすることはできません。

家屋(建物)は減価償却ができるため(減価償却資産)、耐用年数にわたって減価償却費として不動産所得の必要経費となり各年分の所得税等を減少させます。 すなわち、キャッシュフロー的にみると、建物の取得に要した支出額は、耐用年数にわたって各年「減価償却費×所得税等の税率」相当額が回収できることになります。

いっぽう、土地は減価償却ができず(非減価償却資産)、将来にわたっても不動産所得の必要経費となることはありません。 すなわち、キャッシュフロー的にみると、土地の取得に要した支出額は、当該土地を売却しないかぎり回収できないことになります。

また、土地と家屋の購入にあたっては、仲介手数料が発生します。仲介手数料は固定資産の取得に直接要するため、固定資産の取得価額に算入しなければなりません。

このとき、仲介手数料の土地と家屋への配賦については、対価の割合によるのが合理的であるため、土地の割合が高いほど仲介手数料の額が土地の取得価額に算入されるために必要経費となりません。いっぽう、家屋の割合が高いほど仲介手数料の額は建物の取得価額に算入されるため減価償却として必要経費となります。

これらのことから、買主にとって、取引金額に占める家屋(建物)の割合が高いほど有利となり、土地の割合が高いほど不利となります。

建物の取得に要した仮払消費税等の回収

土地と家屋(建物)を取引する場合、たとえ当事者間で土地と家屋(建物)の額しか決めずに消費税等の額が明らかになっていなくても、家屋(建物)に係る取引金額には消費税等が含まれています(内税)。

通常の消費税の申告(一般課税)では、建物の取得に係る仮払消費税等については、当該年分に係る消費税の申告で仮受消費税等から控除できるため、納付額が減少し、あるいは、還付を受けることができます。

すなわち、キャッシュフロー的にみると、建物の取得で支払った消費税等の額は、消費税の申告で早期に「回収」できることになります。

この点でも、取引金額に占める家屋(建物)の割合が高いほど、(早期に回収できる)消費税等の額が大きくなることから、買主に有利といえます。

もっとも、建物の取得に係る仮払消費税等の支出額の回収のタイミングは、土地と家屋(建物)を取得する年分の買主の消費税の申告がどうなのかによって大きく異なります。

たとえば、買主の当該年分の消費税の申告が免除されていると(免税事業者)、支出した仮払消費税等の額を回収するタイミングが著しく遅れることになります。つまり、仮払消費税等の額は建物の取得価額に含めて減価償却によって耐用年数にわたって不動産所得の必要経費として所得税等を減少させることによって回収されることになります。

このため、取得(予定)の年分の消費税の申告がどのようになるのかをよく検討し、適切な対応(前年末までの各種届出書の提出など)をしておく必要があります。

消費税の経理方法による影響

買主の不動産所得の経理が税込経理方式の場合、建物の取得に係る仮払消費税等の額は建物の取得価額に含まれ、減価償却費として耐用年数にわたる各年分の不動産所得の必要経費となって所得税等を減少させます。 もっとも、税込経理方式は、収入金額も必要経費も税込金額で経理し、消費税の納付額や還付額も必要経費や収入金額となるため、建物の減価償却費が膨らむことだけを抜き出して有利不利を考えてもあまり適切ではありません。

いっぽう、税抜経理方式の場合、当該仮払消費税等の額は建物の取得価額に含めないため、取得価額の額はその分減少して各年分の減価償却費も減ることになります。 もっとも、税抜経理方式は、収入金額も必要経費も本体価格で経理し、消費税の納付額や還付額は不動産所得を構成しません。ただし、本体価格と別途の仮払消費税等(資産)と仮受消費税等(負債)の相殺後の金額と、実際の申告での納付額や還付額との差額は、当該年分の不動産所得を構成することになります。申告による納付額は100円未満切り捨てのため差額はもともと発生しますが、一般課税での控除対象消費税等の発生では差額は大きくなります。

とくに、税抜経理方式で、かつ、当該年分の消費税の申告は簡易課税制度の場合、家屋(建物)の取得などにより実際に支払った仮払消費税等の額のほうが簡易課税制度によるみなし仕入率によって算定される仮払消費税等の額を上回ると、簡易課税制度による方が納税額が大きくなります。それどころか、一般課税なら還付となるのに簡易課税制度のために納税となることもあります。簡易課税制度のために余ってしまった仮払消費税等の額は当該年分の不動産所得の計算上必要経費となり所得税等を減少させます。ただ、この額が大きくなると、当該年分の不動産所得そのものが赤字になることもあります。不動産所得の赤字は、借入金利子のうち土地等の取得に対応する部分は必要経費とならないといった別の問題も引き起こします。

ところで、収入を税抜経理方式で行っていれば、固定資産については税込経理方式によることができます。これを使えば、当該年分の不動産所得の赤字を回避することが可能なことがあります。

このように、経理方式や当該年分の消費税申告の方法によっては、家屋(建物)の対価いかんによって、当該年分の不動産所得に著しい影響を及ぼします。

本体価格(税別価格)ベースでの交渉の場合

当事者間の取引の対価の交渉にあたり、本体価格ベースで交渉を行っているものとします。

本体価格ベースでの交渉でも、その内訳、すなわち、土地と家屋の区分が重要になることは変わりませんが、消費税込みの総額ベースの交渉とは異なり、家屋の取引に係る消費税等が別途発生するために、取引総額が増減することになります。

たとえば、土地と家屋で10億円のうち土地が6億円で家屋が4億円だとします。

家屋4億円は本体価格のため、消費税率10%とすると、別途消費税等の額が40,000,000円かかることになります。

  • 土地 600,000,000円
  • 家屋 400,000,000円
  • 消費税等 40,000,000円
  • 合計 1,040,000,000円

こんどは、土地と家屋で消費税込み10億円のうち土地が5億円で家屋が5億円だとします。

家屋5億円は本体価格のため、消費税率10%とすると、別途消費税等の額が50,000,000円かかることになります。

  • 土地 500,000,000円
  • 家屋 500,000,000円
  • 消費税等 50,000,000円
  • 合計 1,050,000,000円

つまり、土地と家屋の本体価格ベースでの合計額は10億円で同じでも、そのうち家屋(本体価格)4億円では別途消費税等の額が40,000,000円加算され、5億円では別途50,000,000円加算されます。

つまり、家屋の割合が大きくなればなるほど、家屋の取引に係る消費税等の額が取引総額に加算されることになります。

そして、この売買契約書に係る印紙税は、記載金額が10億円超のため32万円となります(軽減措置適用後)。ただし、契約書で消費税額を区分して記載していれば、当該消費税等の額は記載金額に含めないため、10億円以下となって16万円となります。

売主にとって

上記の例でいくと、総額ベースでの交渉の場合、受け取る金額は10億円となりますが、本体価格ベースの交渉の場合、受け取る金額は家屋の対価に係る消費税等の額が加算されることになります。

つまり、家屋の対価が大きいほど、これに係る消費税等の額も大きくなるため、受け取る金額も大きくなります。

売主にとっては、家屋に係る消費税等の額は消費税の申告で国に納税することになります。つまり、預かった消費税等の額は手元に残らないことになりますが、消費税等の額を買主から受け取る日と納期限の日までには時間があることから、資金繰り的には助かることになります。

譲渡所得の計算

概要については、上記をご覧ください。

譲渡所得の計算上、家屋の売却に係る仮受消費税等の額を収入金額に含めるかどうかは、不動産所得の経理が税込経理方式か税抜経理方式かによります。 税込経理方式を採っている場合には、譲渡所得の収入金額に家屋の売却に係る仮受消費税等の額を含め、税抜経理方式の場合には含めないことになります。

税込経理方式の場合には、譲渡所得の計算上、収入金額は家屋の売却に係る消費税等を含めた金額となります。よって、家屋の割合が高ければ高いほど消費税等の額が大きくなるため、譲渡所得の収入金額も大きくなります。 売主の当該年分の不動産所得(を含めた総合所得)に課される所得税等の累進税率よりも譲渡所得に係る税率のほうが低いときは、売主にとって有利となります。

とくに、当該年分の消費税の申告が免除される(免税事業者)場合には、預かった消費税等を納税しなくて済み、しかも、当該消費税等は譲渡所得の収入金額に含まれるため譲渡所得は増えますが譲渡所得の低い税率により負担も少なくなります。

税抜経理方式の場合には、譲渡所得の収入金額は本体価格で計算するため、取引金額(税抜き)に占める家屋の割合の大小によって譲渡収入金額が変わることはありません。

消費税の申告

土地よりも家屋の割合が大きくなると、相対的に土地の対価の金額が減少することになります。土地の売上取引は消費税の非課税売上に該当するため、非課税売上の額が減少するということは、課税売上割合が上昇し、仮受消費税等から差し引けない控除対象外消費税等の額が減少するために、支払った仮払消費税等の早期の回収が可能となります。

つまり、本体価格ベースでの交渉は、売主にとっては家屋の割合が大きいほうが通常有利ということになります。

ちなみに、売主の当該年分の消費税の申告が簡易課税制度となる場合には、当該取引については第六種事業としてみなし仕入率40%となります。たとえば、家屋(本体価格)4億円では、預かる消費税等の額40,000,000円のうち、その40%である16,000,000円の消費税等を支払ったものとみなして申告税額を計算します。みなし計算された仮払消費税等の額が実際に支払った仮払消費税等の額よりも大きいと納税額が小さくなり、受け取った消費税等が手元に残ることになりますが、この部分については不動産所得となって所得税等が課されます。

買主にとって

買主にとっては、本体価格ベースでの交渉は不利です。家屋の取引に係る消費税等の額の影響で支払金額が膨らんでしまうからです。

このため、取得に資金調達を要する場合、交渉次第では資金が不足するリスクがあります。本体価格ベースでの交渉の場合には、家屋(建物)の取得には消費税等が加算されることを念頭に置き、余裕をもった資金調達を行いましょう。

当初の支払総額という点だけからすると、家屋の割合が小さいほうが支出額は減ることになりますが、土地は減価償却ができないため、減価償却による不動産所得の減少を通じた投下資本の回収ができないデメリットを考えれば、当初の資本調達さえ問題がなければ、家屋の割合が大きいほうが望ましいということになります。

ところで、本体価格ベースでの交渉では、消費税込みの総額ベースでの交渉とは異なり、家屋の対価に係る消費税等が別途加算されます。

買主としては、売主の当該年分の消費税の申告がどうなのかを確認することができれば、たとえば売主が免税事業者に該当する場合には、消費税等の額を別途支払うことを拒否することもできるかもしれません。この場合、総額ベースでの交渉と同じように、家屋の対価は税込みということになります。

( つづく )