( 7 )1科目ずつ実力アップ

複数の科目からなる試験の場合、すべての科目で一定のレベルに達する必要がありますが、科目によっては、集中的に時間をかけないとなかなか実力が向上しないものもあります。そこで、数科目を同時並行的にやる予備校や専門学校のカリキュラムにとらわれず、1科目ずつ集中的に勉強してレベルを上げていくのも効率的と思われます。

実力の差

書店などで過去問を立ち読みすると、「なんだ問題簡単じゃん!」「なんだこの程度なら自分にもできる!」とヘンな自信が生まれることも少なくありません。

それなのに、なんで難しい試験になってしまうのかというと、「1年に1度しかない」「絶対に合格したい」というプレッシャーの中でちゃんと自分のふだんの実力を解答用紙に反映できますかということだからと思われます。

あるいは、なんとなく易しそうな問題を見て、「ヤマが当たって解けそうだラッキー」と思うか「ほかの受験生も得点しているので絶対に落とせない」とプレッシャーを感じるかの違いとでも言いましょうか・・・

「なんとなくできる」からその先の合格レベルには、一見ごくわずかなんですがものすごい差があります。そこが、なかなか成績が上がらなかったり安定しない根本的な原因のひとつなのではないかと思われます。

1科目ずつ固める

試験が複数の科目からなっている場合、合格するための必要最低限なのは、すべての科目で一定レベルの実力をつけることでしょう。

いっぽう、科目によっては、ある程度ガマンして全体像がつかめてはじめて実力がグッと上がってくるものが少なくありません。英語とか簿記とか民法とかがそのような科目ではないでしょうか。えてしてその試験のキーとなる科目が多いです。

たとえば、英語の場合、単語の暗記や英文法や英作文の問題などを解きまくってある程度ガマンすると、それまでバラバラだったものが一挙に結びついて(総合力ともいうのでしょうか)飛躍的に実力が上がる科目だと思われます。

このような科目の場合には、集中的にその科目だけを勉強することで一気に実力を高めることが重要ではないかと思われます。

一定のレベルは、時が経てば自然と身についてくるものではありませんし、あるいは、コツコツとやっていても身に付くかどうかは不確実ですし、時間的なロスも膨大です。

能力のない私の経験からすると、いくつかの科目を同時にやっていたのではなかなか実力は向上しないのではないかと思われます。ある科目をマスターするときは、その科目だけにすべての時間とエネルギーを注ぐことが効果的ではないかと思われます。

ある科目だけを集中的に勉強して実力をある程度のレベルまで上げてから、他の科目をまた集中的に勉強します。試験科目すべてをクリアできたら次のステップあるいはステージに向かうということになります。

結局は、すべての科目で一定のレベルに到達しなければ合格はおぼつかないわけですから、複数の科目をそれぞれやるよりも、一つの科目を集中的にやることによって、科目ひとつひとつを確実にレベルアップすることも効率的ではないかと思われます。

「チャレンジを開始すべきか」「チャレンジを止めるべきか」の判断基準に

何かチャレンジしようとすると、すぐに塾なり予備校なり専門学校なりの講座を申し込んでしまうこともあると思われます。

しかし、申し込みの前に、その試験の過去問や合格体験記などを見て、どのくらいのことをやらないといけないのかを検討することも大切だと思われます。

合格のカギを握るひとつの科目について、一定期間集中して独学で勉強してみて、「(客観的に)合格しそうなのか」を判断することは重要だと思われます。

一定期間集中的に勉強してもあまりにも理解できない場合には、本当にリスクを負ってチャレンジしていいのかどうか判断をすることができます。

そのあとで専門学校等に申し込んでも、自分がわからないポイントが明確になっているので、ゼロからの場合に比べるとその理解の質や量はまるで違うはずです。

逆に、ひとつの科目について長い間勉強してきてもなかなか実力が一定レベルに到達しない場合には、このままチャレンジを続けていいのか、目標を下げたほうがいいのかの判断をすることができます。

時間をさらにかければ実力は向上するかもしれません。ただ、危険なのは、長い時をかければかけるほど、すでに多くの時間その他の犠牲を払ってしまっているため、今さらあきらめきれないという気持ちから、ますます自分を客観的に見ることができなくなってしまう点です。

なお、実務では、一定の時間内に一定以上の成果を出すことが極めて重視されます。

判断基準

では、どの程度をもって一定のレベルに達したといえるでしょうか。

基本的には「合格体験記」などで、合格者が推す参考書や問題集を自分のモノにできたかどうかがひとつの基準になると思います。

当然ですが試験に合格した人が書いているので、合格レベルに達している人が推した書籍は、初学者にとっては苦痛以外の何物でもありません。ただ、ある程度理解したり解けるようになってくれば、一定の自信がわいてくるはずですし、その試行錯誤のプロセスによって自分はどう勉強するとアタマに入るのかを会得することができるのです。

間違った根性論は唾棄すべきですが、わからなかったことが試行錯誤によってわかるようになる(わかったつもりになる)ためにはある程度のガマンが必要です。そのガマンは、本試験で難問にぶつかったときにも「なんとか点を拾おう」という執念につながると思いますし、そういうところで点を拾えたかどうかが結局合否の分かれ目になっていることが少なくないと思われます。

( つづく )