( 2 )トラブルとストレス
道路上は、ありとあらゆるタイプのオトナがありとあらゆる目的でありとあらゆるクルマを運転しているカオスです。
それでも、ほとんどのドライバーにとっての共通の願いは「トラブルに遭わないこと」です。
トラブルの原因はさまざまですが、相手がある場合に重要なのがミスコミュニケーションです。ミスコミュニケーションによってストレスが生じます。
ひょっとしたら、自分が周囲のドライバーにストレスを与え、トラブルの遠因になっているかもしれないのです。
トラブルの原因
道路上には、さまざまな目的を持ったさまざまなオトナに運転されたさまざまなクルマが存在します。 クルマのタイプや性能もさまざまですが、運転するオトナのみなさんも、クルマやクルマの運転に対する考え方が違ううえに、性別、年齢、運転技術、運転経験、さらにはその時々の気分もさまざまです。
そのなかで、唯一といっていいほど共通しているのが「トラブルに遭いたくない」という点です。
では、トラブルはどういうときに発生するのでしょうか。自分の技能や体力を過信したことによる、起こるべくして起きるものもある一方、どうしても避けることのできない、自分の力ではどうすることもできないものもあります。
相手のあるトラブルの場合には、ミスコミュニケーションが原因なものは少なくないと思われます。
日常生活でのトラブルも、ミスコミュニケーションが原因なものは少なくありませんし、大展開して歴史上の戦争をみても、ミスコミュニケーションから生じたボタンの掛け違いが原因であることも少なくありません。
ストレスの発生
コミュニケーションは一方通行の単独行為ではなく、相手あってのものです。
しかし、道路上では、周囲とのコミュニケーションにコトバが使える状況はほとんどありません。自分の意思を周囲に伝えたつもりでも、周囲が自分の意思をじゅうぶんに理解しているかどうかは確認できません。
たまたまその時の状況や気分で、うっかり見落としてしまうこともあるでしょうし、すべてのドライバーが、常に「万が一、相手は自分のアクションを見落としているかもしれない」と考えて、それに対する備えをしているはずがありません。
ましてや、道路上では、さまざまな目的を持ったさまざまなオトナがクルマを運転しています。
気心知れている間柄でさえミスコミュニケーションはあるわけですから、ましてや一期一会の相手に自分の求めるアクションを 100 %期待することは相当困難です。
そこにストレスが生じます。
自分がトラブルの遠因に?
フィジカル的にもメンタル的にも余裕のある状況で運転しているときは、ストレスを感じるときも少ないです。
しかし、私自分にあてはめてみても、常に余裕のある状況でドライブをしているはずがありません。
時間に追われていてビリビリして運転していることもありますし、トイレをガマンしていることもあります。ナビの指示通りに曲がれなくてオロオロしているときもあれば、ナビの愚かなルート選択にイラッとしたりします。
そんなときは、どうしても注意力が散漫になって、事故を起こすリスクが高まっているはずです。
同時に、通常なら寛容でいられるのに、自分の期待とは異なる動きをしている周囲のクルマに対してストレスがたまってきます。 どんどん自分を正当化してしまい、イライラが募ります。
周囲への配慮などそんな余裕はありません。自己中心的になり、クルマの操縦にも出ているはずです。
ということは、逆に周囲からしてみると、私からストレスを受けていることはまちがいありません。
ひょっとしたら、私の運転によって周囲のドライバーにストレスを与え、心理状態が平常でなくなり、私と直接トラブルは起こさなくても、他のクルマとトラブルを起こしてしまう遠因となっているのかもしれません。
トラブルや事故は、周囲が回避してくれたことで結果的に起こらなかったということが少なくありませんが、自分がトラブルや事故を回避したことは自覚していても、逆に、周囲が未然に回避してくれていたことはほとんどの場合自覚していないと思います。
では、このストレスとどう向き合ったらよいでしょうか。
( つづく )