医療費控除の誤解とムダのない医療費控除作業のご提案

医療費控除は10万円を超えていないとダメなのか」という大きな誤解があります。

医療費控除ができる医療費の額は、「所得金額の5%」から「10万円」のうち小さいほうの額を超えた額です。

しかし、より大きな誤解は、「去年は医療費が10万円なくて医療費控除ができなくて残念」というものです。

さて、エクセルにたくさん領収書の内容を入力したのに、けっきょく医療費控除の金額に達してなくてガックリくる方も少なくないのではないでしょうか。 そんなことのないような作業方法をご提案いたします。

そんなことのないような作業方法をご提案いたします。

医療費は10万円超でないと医療費控除できないのか??

医療費控除ができる医療費の額は、「所得金額の5%」から「10万円」のうち小さいほうの額を超えた額です

「所得金額」とは事業所得や給与所得や雑所得などを合計した額で、基礎控除や扶養控除などの所得控除(所得から差し引かれる金額)を差し引く前の額です。

具体的には、平成26年分の確定申告書Aならば⑤欄、確定申告書Bならば⑨欄です。

これに5%を乗じた額と、医療費を比べてみましょう。超えていたら医療費控除が受けられます。

より具体的には、「所得金額」が200万円以上だったら10万円、それ以下だったら「所得金額の5%」です

医療費控除作業のご提案

医療費控除をしようと医療費のレシートをかき集め、エクセルで「治療を受けた人」「病院等の名称と住所」「医療の内訳」と「金額」をバカバカ入力したあげく、「あれ?結局医療費控除ないじゃん」となるとガックリくるのではないでしょうか。

人生は有限で、時間は万人に等しく与えられています。ほかに有益なことに時間を利用していただきたいと思います。

そもそも医療費の金額を集計する作業が必要なのかのチェック

給与所得のほかに所得がない場合には「給与所得の源泉徴収票」をご覧ください。 「源泉徴収税額」がゼロだったら、基本的にその後の作業はする必要はありません。

ただし、「源泉徴収税額」がゼロであっても「住宅借入金等特別控除の額」に数値が記入されている場合はその後の作業を続けてください。

公的年金等のほかに所得がない場合には「公的年金等の源泉徴収票」をご覧ください。 「源泉徴収税額」がゼロだったら、基本的にその後の作業はする必要はありません。

医療費の集計

まずはエクセルに医療費の金額だけバカバカ入力して、支払った医療費の合計額を出します。

保険金などで補填される金額がないか確かめます。

医療費控除があるかないかのチェック

医療費控除の額は、支払った医療費(保険金などで補填される金額を差し引きます)から、「10万円」から「所得金額の5%」のどちらか少ないほうを差し引きます。

そこで、所得金額をチェックします。

  • 事業所得や不動産所得の方は青色申告特別控除額を差し引いた額です。
  • 給与所得の方は「給与所得の源泉徴収票」の「給与所得控除後の金額」が所得金額となります。
  • 公的年金の方は、「公的年金等の源泉徴収票」の「支払金額」をチェックしてください。そして、「確定申告の手引き」や国税庁の確定申告サイトに金額を入力するなどによって公的年金等(雑所得)の所得金額を知りましょう。
  • 複数の所得の方は所得金額を合計します。

所得金額が200万円以上の場合

この所得金額が200万円以上であれば、支払った医療費(保険金等の控除後)から差し引く額は10万円です。つまり、先ほど計算した支払った医療費(保険金等の控除後)が10万円以下であれば医療費控除は受けられないので、医療費控除関係の作業は終わりにしましょう。

所得金額が200万円未満の場合

所得金額が200万円未満であれば、ここであらためてチェックしたいことがあります。

退職所得や山林所得、土地・家屋や株式などの譲渡所得(特別控除額を差し引いている場合は特別控除額がないものとした額)などの申告分離課税の対象となる所得がある場合には加算します

その結果が200万円以上であれば、支払った医療費(保険金等の控除後)から差し引く額は10万円です。つまり、先ほど計算した支払った医療費(保険金等の控除後)が10万円以下であれば医療費控除は受けられないので、医療費控除関係の作業は終わりにしましょう。

そのような所得はなく、所得金額が200万円未満であれば、支払った医療費(保険金等の控除後)から差し引く額は「所得金額の5%」です。つまり、先ほど計算した支払った医療費(保険金等の控除後)が「所得金額の5%」以下であれば医療費控除は受けられないので、医療費控除関係の作業は終わりにしましょう。

医療費控除の作業

そして、所得金額が200万円以上であれば10万円、所得金額が200万円未満であれば「所得金額の5%」の額を超える医療費がある場合には、確定申告で医療費控除ができます。 税金が少なくなったり、源泉徴収されていた税金が還付されます。

ようやくここで真剣に医療費控除の作業を開始します。

エクセルにはすでに「医療費の額」だけは入力してあります。

ここに、「治療を受けた人」「病院等の名称と住所」「医療の内訳」の情報を加えて集計して医療費控除の額を申告することになります。

この際に、あらためて金額を見るのでダブルチェックがかかることになります。

ちなみに、医療費は同じ金額の領収書が多いことも少なくないため、私は日付も入力するようにしています。

より大きな誤解

医療費が10万円なかったから医療費控除ができなかった」と残念がる人がいらっしゃいます。

医療費はゼロにこしたことはありません。

どんなに高額の所得者であっても、10万円を超えた分の半分程度が戻ってくるにすぎないのです(所得税40%、復興特別所得税0.84%、住民税10%、平成27年分の所得税からは所得税45%、復興特別所得税0.945%、住民税10%)。

残りは外に現金が出ていったのです。ほかに使えたはずの時間も使い、そのたびに精神的な不安があったわけですから。

(おわり)