( 3 )ワークシート作成とその留意点

私の場合、「事業計画(予測損益計算書と予測貸借対照表)を作成するワークシート」「フリー・キャッシュ・フローを算定するワークシート」「割引率で割り引いて DCF を計算し、企業価値や株主価値を算定するワークシート」の 3 つのワークシートでコントロールしております。

また、ワークシートについては、すべて 1 円単位で作成・計算しております。なぜなら、最終的な価値の算定結果が1円単位、あるいは、何銭単位であるならば、その前提となる数値も 1 円単位で算定すべきと考えるからです。

事業価値等の算定のためのワークシート

私の場合、 3 つのワークシートを作成してコントロールしております。

  • 事業計画(予測損益計算書と予測貸借対照表)を作成するワークシート
  • フリー・キャッシュ・フローを算定するワークシート
  • 割引率で割り引いてDCFを計算し、企業価値や株主価値を算定するワークシート

1つのExcelのブックでも可能ですが、3つのブックにしています。その理由は、3つのブックを並べて表示したいからです。 また、ブック相互のリンクはあえて張っておりません。その理由は、状況によって行や列を挿入・削除することが多くフォーマット自体が安定しないことと、リンクを張るとリンク切れがあったり、数式が当たっていなかったりする可能性があるからです。 数式が当たっていないとは、たとえば、列や行を挿入するとその手前で数式が計算範囲が切れてしまい列や行に入れたデータが計算対象外になってしまうことです。 ブックを分けて、ウィンドウに並べて表示すれば、相互で金額等のチェックを常に行うことができます。 もちろん、検算のためのセルをところどころに用意はしています。 そして、「形式を選択して貼り付け」で「値」で貼り付けを多用しています。数字自体の入力は可能なかぎり行いません。

また、複雑な数式などは可能な限り避けています。これは、計算ミスを避けるとともに、第三者による検証作業を容易にするためです。第三者による検証作業を容易にしようとすれば、よりシンプルなワークシートとなり、このようなワークシートにしようと心がけることが計算ミスやムリなロジックを避けることにつながるからです。

他人様が作られたデータを提供された場合には、結果としての数値の妥当性やロジックを検討する前に、まずは各数値の算定プロセスすなわち数式の関係と端数処理を徹底的に検証しています。 リンクの関係から数式が値に変換されているものもありますが、元のブックやシートがないためにブラックボックスしているものでないかぎり、徹底的に数値の生成の仕方を検討します。 また、各セルの1円未満の端数をチェックします。各セルには、無限(?)に1円未満の端数があるからです。 このままでは、合計数値が「見た目のセル」の値の合計額と微妙に異なることになります。

なお、私は、ワークシートについては、すべて1円単位で作成しております。報告書上では千円未満切り捨て表示や百万円未満切り捨て表示で行っても、ワークシート上では1円単位で作成しております。なぜなら、最終的な価値の算定結果が1円単位、あるいは、何銭単位であるならば、その前提となる数値も1円単位で算定すべきと考えるからです。元資料が千円単位や百万円単位であっても、単位未満はすべてゼロとして出発しています。そこから比率等に基づいて数値を作成すると1円単位の数値なったり、それどころか1円未満の端数の調整が求められるからです。

( つづく )